⑤【法務局が知らせる】自筆証書遺言書保管制度の「指定者通知」とは?仕組みと活用法を専門家が徹底解説
- 7月8日
- 読了時間: 12分
更新日:8月5日
ご自身の想いを法的な効力を持って残す「自筆証書遺言書保管制度」を検討し、作成したものの、せっかく作成した遺言書も、いざという時にご家族へその存在が伝わらなければ、本来の役割を果たすことができません。
本記事では、遺されたご家族の負担を減らし、円満な相続を実現するための「2つの通知制度」について、法律の専門用語をできる限り避けながら分かりやすく解説いたします。大切な方の安心を守るための知識として、ぜひご活用ください。
※本記事は自筆証書遺言書保管制度の申請書で「指定した人への死亡後の通知(指定者通知)」を設定したときの流れとなります。
【目次】
皆様の安心できる未来のために(無料相談のご案内)
【記事の要約】自筆証書遺言書保管制度における指定者通知の仕組み

法務局には、自筆証書遺言書保管制度の利用の遺言者本人が死亡時に第一報を届ける「指定者通知」と、手続き開始時に全員へ知らせる「関係遺言書保管通知」の2種類が存在します。
「指定者通知」は生前に最大3名まで指定でき、ご遺族が役所に死亡届を出すとシステム連携により自動で発送されます。
「関係遺言書保管通知」は、相続人の一人が閲覧等をした際に他の関係者全員へ送られ、一部の人の情報独占を防ぎます。
1. 事前準備と行動のためのToDoリスト

遺言書保管制度の通知機能を確実に活用し、スムーズに相続手続きを進めるためのチェックリストと手順をご案内します。
事前準備と要件確認チェックリスト(全6項目)
遺言書の預け入れ確認: 故人が「自筆証書遺言書保管制度」を利用し、法務局へ遺言書を預けているか。(本制度専用の機能です)
通知利用の同意確認: 遺言書を預ける際、指定者通知の利用について申請書で「同意」をしているか。
指定対象者の確認: ご自身やご家族が「指定者通知」の対象者(最大3名まで)として生前に指定されているか。
ご自身の法的な立場の確認: ご自身が「法定相続人」「受遺者等」「遺言執行者等」のいずれかに該当するか。(※非該当の第三者は閲覧請求等ができません)
最新の住所・氏名の登録: 指定された対象者の氏名や住所に変更があった際、法務局へ正しく「変更の届出」が行われているか。
初動体制の構築: 主な財産を受け取る予定の家族や、手続きを代行する「専門家(遺言執行者)」が通知対象者に適切に含まれているか。
行動と手順用ToDoリスト(全6項目)
死亡届の提出: ご遺族が役所(戸籍担当部局)へ故人の死亡届を滞りなく提出する。(これが全ての通知の起点となります)
第一報の受け取り: 法務局からの「指定者通知」が指定された方(最大3名)へ自動発送されるのを受け取る。
法務局への予約手続き: 通知を受け取った後、遺言書の内容を確認するため、管轄の法務局へ閲覧等の予約を行う。
閲覧・証明書の請求: 相続人等の「誰か一人」が法務局へ出向き、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付請求を実施する。
関係者への一斉通知の確認: 上記の行動をきっかけに、他の関係者全員へ「関係遺言書保管通知」が自動発送されたことを確認する。
具体的な相続手続きの開始: 内容確認後、専門家(遺言執行者等)と連携しながら、預貯金の解約や不動産の名義変更などの実務を進める。
2. 法務局が遺言書の存在を知らせる「2つの通知制度」の仕組み

遺言書は、法務局(遺言書保管所)に「ただ預けて終わり」ではありません。遺されたご家族を法的な枠組みで確実にサポートする優れた機能が備わっています。
「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」に基づき、遺言書を確実に家族へ届けるための仕組みとして、大きく分けて「指定した方への第一報(指定者通知)」と「関係者全員への公平な通知(関係遺言書保管通知)」の2種類が運用されています。
どちらも法務局から送られる大切なお知らせですが、「通知されるきっかけ」と「誰に届くか」に大きな違いがあります。
【一目でわかる】2つの通知制度の比較表
比較項目 | 指定者通知(第一報) | 関係遺言書保管通知(公平性維持) |
通知の目的 | 遺言書が誰にも気づかれないまま放置される事態(死蔵)を未然に防ぐため。 | 一部の親族が情報を独占することによる不公平やトラブルを防ぐため。 |
通知のタイミング | 自動的(ご遺族が役所に死亡届を提出し、法務局が事実を把握した時点) | 誰かのアクション後(相続人等の1名が閲覧や証明書請求を行った時点) |
通知される対象者 | 生前に遺言者が申請書で指定した方(最大3名まで/どなたでも可能) | 手続きを行った本人以外の、すべての関係する相続人・受遺者・遺言執行者等 |
生前の同意 | 制度利用のためには、保管申請時に遺言者本人の「同意」が必須。 | 法律に基づく制度のため、特段の同意手続きなく要件を満たせば実施される。 |
法的根拠 | 遺言書保管法 運用上の制度(令和5年10月拡充) | 遺言書保管法 第9条第5項 |
3. 各通知制度の具体的な違いと厳格なルール
ここからは、それぞれの通知制度が持つ役割と、知っておくべき法律上のルールについて詳しく解説いたします。
3-1. 指定者通知(指定した人への死亡後の第一報)とは?

「指定者通知」とは、遺言書の存在が誰にも気づかれないままになる事態を確実に防ぐための、いわば「法務局からの第一報」です。
■ 通知されるタイミング(自動的)
最大の利点は「自動的」にお知らせが届くことです。ご家族が役所に死亡届を提出すると、行政機関のシステム連携により、法務局(遺言書保管官)が「遺言者が亡くなられた」という事実を取得します。
その情報を得た時点で、あらかじめ指定されていた方の元へ「あなたに関係する遺言書が保管されています」という通知が発送されます。ご家族がご自身で法務局へ出向いて調べる手間が省ける、大変画期的な仕組みです。
■ 重要要件とルール(令和5年10月改正対応)
本制度を利用し、また適切に機能させるためには、以下の法律上の絶対ルールを満たす必要があります。
対象範囲と人数の拡大
令和5年(2023年)10月2日の運用見直しにより、指定できる人数が「最大3名まで」に拡大されました。また、以前は推定相続人等に限定されていましたが、現在は親しいご友人や専門家など、どなたでも指定することが可能です。
生前の同意が必須
この通知を希望する場合、遺言書を法務局へ預ける際の申請書にて、遺言者本人が通知システムを利用することへの「同意」を行う必要があります。
「閲覧等」の権限に関する注意
単なる知人などの第三者を通知対象に指定することは可能ですが、通知を受け取ったとしても、その方が「推定相続人」「受遺者等」「遺言執行者等」に該当しない場合は、法的権限がないため遺言書の閲覧や証明書の交付請求を行うことはできません。
変更の届出義務
指定した方の氏名や住所に引っ越し等で変更が生じた場合、必ず法務局へ「変更の届出」を行う必要があります。宛先不明のままでは大切な通知が届きません。対象者の追加(最大3名枠内)もこの届出で行えます。
現場のリアルな声(実務でのよくある失敗例)
「数年前に遺言書を預けた後、指定していた長男が引っ越しをしたのですが、法務局へ住所変更の手続きを忘れていました。
結果として、いざという時に通知が宛先不明で戻ってしまい、初動が遅れてしまったケースがあります。」※変更手続きは速やかに行うようお勧めいたします。
3-2. 関係遺言書保管通知(公平性を保つ仕組み)とは?

続いて、「関係遺言書保管通知」は、一部の相続人が情報を独占するのを防ぎ、関係者全員の「公明正大なお手続き」を実現するための制度です。
■ 通知されるタイミングと対象者(アクションが契機)
指定者通知が「自動的」であったのに対し、こちらは「誰かの具体的な行動」がきっかけとなります。相続開始後、相続人や財産を譲り受ける方(受遺者)のうちの「誰か一人」が、法務局で「遺言書の閲覧」や「遺言書情報証明書の交付」の請求を行った時点で、初めて通知システムが作動します。
手続きを行った方以外の、他のすべての関係する相続人等(法定相続人、受遺者、遺言執行者など)に対して、「法務局に遺言書が保管されており、〇〇さんが内容を確認しました」というお知らせが一斉に発送されます。
これにより、「特定の兄弟だけが遺言書の内容を知っていて、他の親族は何も知らされていない」といった不公平な状況を未然に防ぐことができます。
4. 実務家が教える「通知制度」を最大限に活かす実践アドバイス

3名まで指定できるようになった「指定者通知」ですが、いざ申請書を前にすると「誰を選べば最も安心できるのか?」と迷われる方も多くいらっしゃいます。実務上は、以下の2つの視点で指定しておくことを強く推奨します。
1. 主な財産を受け取る予定のご家族(配偶者や同居のお子様など)
まず基本となるのは、お葬式やその後の手続きの中心となる身近なご家族です。彼らに第一報が届くことで、預貯金の口座凍結解除などの初動に素早く取り掛かることができます。
2. 遺言執行者(行政書士や司法書士、弁護士などの専門家)
もし遺言書の中で、死後の複雑な手続きを代行する「遺言執行者」として専門家を指定している場合は、その専門家を通知対象者(3名のうちの1名)に含めておくことをお勧めします。
現場のリアルな声(専門家指定のメリット)
「身内が亡くなり心身ともに疲弊している中、指定者通知を受け取った行政書士の先生がすぐに連絡をくれ、法務局での閲覧予約からその後の名義変更まで全て主導してくれました。
自分たちだけで進めていたら、手続きのやり直し等で何ヶ月もかかっていたと思います。」
5. よくあるご質問(FAQ)
読者の皆様から寄せられる、特に重要でつまずきやすい疑問を5つ厳選してお答えいたします。
Q1. 指定者通知とはどのような制度ですか?
遺言者の死亡後、あらかじめ指定された方(最大3名まで)へ、法務局から「遺言書が保管されている事実」を知らせる第一報の制度です。これにより、遺言書が誰にも気づかれずに放置される事態を確実に防ぐことができます。
Q2. 指定者通知の対象者は誰でも選ぶことができますか?
はい、令和5年(2023年)10月の制度改定により対象者の制限が撤廃され、親しいご友人や専門家など、どなたでも指定可能となりました。ただし、本制度の利用には保管申請時に遺言者本人の「同意」が必須となります。
Q3. 通知を受けた第三者(知人など)は遺言書を見られますか?
単なる知人などの第三者を通知対象に指定することは可能ですが、通知を受けた方が「推定相続人」「受遺者等」「遺言執行者等」に該当しない場合は、法的な権限がないため遺言書の閲覧や証明書の交付請求を行うことはできません。
Q4. 関係遺言書保管通知はいつ送られますか?
相続開始後、相続人や受遺者のうちの「誰か一人」が、法務局で「遺言書の閲覧」や「証明書の交付」の請求を行った時点で、初めて他の関係者全員へ自動発送されます。誰も手続きをしなければ送られることはありません。
Q5. 指定した通知対象者の住所が変わった場合はどうすればよいですか?
指定対象者の氏名や住所が引っ越し等で変更になった場合、宛先不明で重要な通知が届かなくなるおそれがあります。そのため、そのままにせず必ず法務局へ「変更の届出」のお手続きをお願いいたします。
【公的機関からの公式情報のご案内】
本記事で解説する「自筆証書遺言書保管制度」の正確なルールや最新の法改正情報につきましては、管轄する法務省の公式ウェブサイトでもご確認いただけます。
※遺言書の用紙は自筆証書遺言書保管制度の1番下の「遺言書の用紙例」の欄からダウンロードできます。
📞 お電話での総合案内(法務省代表):03-3580-4111
✉️ 法務省へのお問い合わせ(ご意見・ご提案)フォームはこちらからアクセス可能です。
皆様の安心できる未来のために(無料相談のご案内)
遺言書の作成や法務局への保管制度は、大切なご家族への「最後のラブレター」とも言える非常に思いやりに満ちた行動です。しかし、細かな法務局のルールや、誰を指定すべきかといった判断に迷われることも多いかと存じます。
山本行政書士事務所では、皆様の想いを確実に形にし、ご遺族の負担を和らげるためのサポートを行っております。少しでもご不安な点や疑問がございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご活用ください。温かく丁寧にご案内させていただきます。
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