在留資格【研修】の基礎知識。目的・要件・報酬・必要書類・手続きの流れ。
- 3 時間前
- 読了時間: 8分
<日本での活動範囲>
本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(二の表の技能実習1号、この表の留学の項に掲げる活動を除く。)
【入管法別表第1の4の表の【研修】の項の下欄】
(非就労系在留資格、上陸許可基準の適用が必要となります。)
<該当例>
研修生
<在留期間.>
1年、6月または3月
日本で新たな技術や知識を学び、母国の発展に貢献したいと考えている外国人(研修生)の方、そしてそれを受け入れようとしている企業の方が取得する在留資格【研修】は、他の【就労系在留資格】や在留資格【留学】とは全く異なる「独特のルール」が存在します。
在留資格「研修」とは何か?
この在留資格の本質となります。ここを間違えると申請は不許可になる可能性があります。
1. 「人づくり」のための制度
在留資格【研修】は、日本で働いてお金を稼ぐためのものではありません。「日本の高度な技能・知識を開発途上国などへ移転し、その国の発展を担う人材を育てる」という国際貢献が目的です。そのため日本で学んだ技能や知識が、母国に持ち帰られて初めて、日本政府としての目的が達成されたことになります。
日本には「単純労働」を目的とした外国人の受け入れを制限してきた歴史があります。もし企業が「これは研修です」と言いながら、実際には工場のラインで1日中製品を作らせ、給料の代わりに少額の手当しか払わなかったらどうなるでしょうか?これは「研修」ではなく「低賃金労働」です。これを許すと、外国人保護の観点からも、日本の労働市場の安定からも問題になります。そのために「座学(非実務)」を原則として、「実務(OJT)」を原則禁止としています。
2. 「就労」でも「留学」でもない
就労系在留資格との違い: 雇用契約を結びません。給料(報酬)は出ません。
在留資格【留学】との違い: 学校で学ぶのではなく、企業や公的機関という「実社会の組織」の中で学びます。
在留資格【技能実習】との違い: 技能実習は「働きながら学ぶ(実務あり)」がメインですが、研修は原則として「座学などの実務を伴わない学習」がメインです。
3.「帰国」が原則(帰国後の復職証明書の提出)
日本で研修を受け、そのまま日本の別の会社に就職してしまうことを防ぐ。
帰国後の復職証明書の提出は義務であり、帰国後一定期間内に、この提出がないと外国人研修生の在留資格変更申請や次回の来日が困難になる可能性があります。
外国人研修生(申請者)の方が満たすべき「個人の要件」
外国人研修生本人が満たしていなければならない条件です。
1. 年齢と帰国の約束
18歳以上であること:未成年(18歳未満)は原則として認められません。
帰国後の職務が予定されていること: 日本で学んだ後、母国に帰って「その技能を活かした仕事」に就くことが決まっていなければなりません。母国の所属機関からの「復職証明書」や「派遣状」が非常に重要です。
2. 修得する技能の性質
単純作業ではないこと: 「同じ作業の繰り返し(反復作業)」で覚えられるような技能は、研修ビザの対象外です。
母国でその技能の修得が困難であること: 「自分の国でも簡単に学べること」を日本で学ぶ必要はないと判断されます。
帰国後にその技能を生かせる業務に従事する予定であること。
修得しようとする技能と関連する業務に自国で従事しているか、自国の業務に関連する技能が必要であること。
3. 家族の帯同は不可
在留資格【研修】は期間が短く(最長1年、例外あり)、研修に専念する目的があるため、家族(配偶者や子)を日本に呼んで一緒に暮らすことはできません。
受入機関の方・企業・団体が満たすべき「組織の要件」
受け入れ側には、非常に厳しい「適格性」が求められます。
1. 研修指導員の配置(指導員の要件)
受け入れ機関の常勤職員であること。
修得させようとする技能について、「5年以上の経験」があること。
指導員の履歴書や職務経歴書によって、その能力を証明する必要があります。
2. 生活指導員と宿泊施設
研修生が日本で困らないよう、生活をサポートする「生活指導員」を配置すること。
研修生のための適切な「宿泊施設」を確保していること。
3. 安全衛生と保証措置
研修施設が安全基準を満たしていること。
研修中の事故や病気に備え、民間保険への加入などの保証措置を講じていること。
4. 帰国旅費の確保
研修生が研修を終えた際、あるいは途中で帰国せざるを得なくなった際、その飛行機代を「受入機関」または「あっせん機関」が確実に負担する措置を講じていなければなりません。
【最重要】「実務研修」と「非実務研修」の峻別
在留資格【研修】審査の特徴となります。
1. 非実務研修(座学・見学など)
講義形式の学習。
実際に販売・生産しない「試作品」の製造。
業務の見学、シミュレーターによる訓練。
原則、一般企業が行う研修はこの「非実務」でなければなりません。
2. 実務研修(On the Job Training / OJT)
実際に販売する商品の生産、接客、サービスの提供。
一般企業が実務研修を行うには、極めて厳しい制限があります。
時間制限: 実務研修が含まれる場合、その時間は全体の「3分の2以下」に制限されます(例外的に4分の3、5分の4まで認められるケースもありますが、条件は非常に複雑です)。
お金の話(報酬・手当・費用)
研修生は労働者ではないため、「給料」という言葉は使いません。
1. 報酬の禁止
研修生に「給料」を支払ってはいけません。雇用関係がないため、最低賃金法の適用もありません。
2. 研修手当(実費支給)
給料は出せませんが、日本で生活するために必要な「実費」は支払うことができます。
食費、日用品費、交通費など。これらを「研修手当」と呼びます。
「研修手当」の食費、日用品費、交通費などを詳しく明示すること。
金額は「日本で生活するのに十分かつ、贅沢すぎない適正な額」である必要があります。
※月額25万円の手当は高額すぎ。地域で異なるが10~15万円程度+住居提供が妥当。
3. アルバイト(資格外活動)の絶対禁止
留学ビザと違い、研修生は1秒たりともアルバイトをすることはできません。 資格外活動許可も原則として下りません。
主な必要書類のチェックリスト
漏れが一つでもあると、追加資料の通知が届き、審査が大幅に遅れます。
1.外国人研修生( 申請者本人)の方が準備するもの
在留資格認定証明書交付申請書
写真(4cm×3cm)
パスポートの写し
履歴書
過去の経歴が今回の研修内容と矛盾していないかを確認。
空白期間がないようにすること。
卒業証明書
母国の所属機関からの派遣状、または復職予定証明書
修得する技能が母国で修得困難であることを説明する書類
研修手当支払合意書
研修手当の額が、本人と受入側が合意しているという本人と、受入側でともに作成した本人の署名入り合意書。
2.受入機関の方が準備するもの
研修計画書: 1ヶ月目~12ヶ月目まで、どのようなスケジュールかを日単位、週単位で、誰が何を教えるかを社内の担当者が詳細に記載したもの。
受入機関概要書: 会社の事業内容や実績。
登記事項全部証明書
直近の決算報告書(貸借対照表・損益計算書)
研修指導員・生活指導員の履歴書
指導員の「5年以上の経験を証明」を指導員の本人が作成する。
研修生の名簿
宿泊施設の概要・写真
しっかり眠れる場所を確保されているのか?学ぶ設備の確保されているのか等をスマホやデジカメで撮影して印刷。
帰国旅費の確保を証明する書面
会社代表者印を捺印すること。
研修手当の額と内訳を説明する書類(研修手当支払合意書)
研修手当の額が、本人と受入側が合意しているという本人と、受入側でともに作成した本人の署名入り合意書。
※研修用のテキスト(教科書)のコピーや工場の中の「座学用の空間」を図面などで示すのもよいでしょう。
※地方出入国在留管理局の「相談窓口」へ行き、作成した「研修計画書(案)」を見せ「この内容だと実務研修とみなされる可能性がある」といったような貴重なアドバイス(ダメ出し)がもらえます。
3. 送出し機関(海外側)の方が準備するもの
送出し機関の概要書・案内パンフレット
送出し機関と受入機関の間の「研修に関する契約書」
手続きの流れ(フローチャート)
研修計画の策定: 受入企業が詳細なカリキュラムを作成。
書類準備: 日本側と海外側で連携し、提出書類を揃える。
入管への申請: 受入企業の職員や行政書士が「在留資格認定証明書(COE)」を申請。
審査: 標準処理期間は1ヶ月〜3ヶ月。
COE発行: 入管から受入企業へ「在留資格認定証明書(COE)」が届く。
現地でのビザ申請: 「在留資格認定証明書(COE)」を海外の本人へ送り、本人が現地の日本大使館で査証を発給してもらう。
来日: 日本での研修開始。
管理: 研修の進捗状況を記録した書類「研修実施状況記録」を事務所に備え付け、終了後1年間保管する義務があります。
研修が開始すれば、「研修実施状況記録」を毎日つけてください。
誰が、何時〜何時まで、どの指導員の下で何を学んだか。
研修手当をいつ、いくら、どのように(振込等)支払ったか。 これらは研修終了後、1年間は会社に保管しておく義務があります。 入管の調査が入った際にこれがないと、次回から二度と研修生を受け入れられなくなります。
審査で落ちないために特に注意すること
特に注意すべき点。
1. 「技能実習」の脱法行為と疑われないこと
もし実務研修がメインであれば、それは「技能実習」として申請すべきです。在留資格【研修】の方が手続きが簡単そうだからといって、実態は仕事(実務)なのに「研修」として申請すると、厳しく撥ねられます。
2. 研修計画の「具体性」
「適宜、先輩が教える」といった曖昧な記述はNGです。「第3週の火曜日10:00〜12:00、会議室にてA指導員が〇〇の理論について座学を行う」というレベルの具体性が求められます。
3. 在留資格の変更は「原則不可」
研修が終わったら必ず帰国しなければなりません。在留資格【研修】から、そのまま就職(技術・人文知識・国際業務など)へ変更することは、原則として認められません。「一度帰国する」ことが制度の前提です。
在留期間の更新と延長
研修ビザの在留期間は、通常「1年」「6ヶ月」「3ヶ月」のいずれかです。
当初予定していた研修が1年で終わらない「合理的な理由」がある場合、最大2年まで認められるケースがありますが、これは非常に稀です。
更新申請の際は、これまでの研修が計画通りに行われていたか、出席状況や手当の支払い状況が厳しくチェックされます。
お問い合わせ
山本行政書士事務所 山本克徳
電話番号090-6287-4466
メールアドレス yamamoto.gshoshi21456@gmail.com
コメント