【2026年最新版】⑤外国人雇用後の社会保険ルールとは?社会保障協定・家族扶養・免除手続きを徹底解説
- 19 時間前
- 読了時間: 14分

外国人労働者を自社に迎え入れる際、労使双方にとって最も金銭的負担が大きく、かつ手続き上のトラブルに発展しやすいのが「外国人雇用後の社会保険(年金・健康保険)」の取り扱いです。特に「母国と日本での保険料の二重払い」や「海外に住む家族の扶養認定」については、労働者本人にとって切実な不安事項となります。
本記事では、関係法令(厚生年金保険法・健康保険法等)に基づき、コンプライアンスを遵守しながら双方の不安を解消するためのルールと具体的な実務手順を、分かりやすく丁寧に解説いたします。
【目次】
【外国人雇用後の社会保険のポイント(3つの要約)】
原則と例外の理解
外国人労働者も日本の社会保険加入が原則ですが、「社会保障協定」締結国からの短期派遣(5年以内)であれば日本の年金加入が適法に免除され、保険料の二重払いを防げます。
免除手続きの必須ステップ
年金加入の免除は自動適用されません。本国機関が発行する「適用証明書」を入手し、日本の年金事務所へ資格取得届とともに確実へ提出する手続きが必須です。
健康保険の扶養ルール厳格化
2020年の法改正により、家族を日本の健康保険の扶養に入れるためには「日本国内に住民票があること(国内居住要件)」が必須となり、海外への仕送りだけでは認定されません。
1. 外国人労働者の入社における社会保険ルールの基礎知識
日本国内の事業所で働く外国人労働者は、国籍を問わず、日本の厚生年金保険法および健康保険法に基づき、日本人と同様に社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務が生じます。
しかし、この原則をそのまま適用すると、労働者は「本国の年金制度」と「日本の年金制度」の両方に保険料を納めなければならない「二重加入」の問題が発生します。
さらに、日本の年金は原則として10年間の加入期間を満たさないと受給権が発生しないため、短期間で帰国した場合には支払った保険料が無駄になってしまう「掛け捨て」の問題も引き起こします。 これら労使双方にとって大きな不利益となる事態を防ぐために設けられているのが「社会保障協定」という国際的な制度です。
社会保障協定が担う「2つの柱」

社会保障協定には、大きく分けて以下の2つの重要な役割があります。
二重加入の防止(保険料の掛け捨て・二重払いを防ぐ)
同じ期間に、日本と母国の両方の年金制度に加入することを防ぐためのルールです。「5年」という派遣期間を一つの基準とし、以下のように取り扱いが分かれます。
5年以内(短期派遣)
母国の年金制度のみに加入を続け、日本の厚生年金への加入は免除されます。
5年超(長期派遣)
母国の年金制度から抜け、日本の厚生年金のみに加入します。
年金加入期間の通算(年金を受け取る権利を守る)
日本の老齢年金を受け取るために必要な「原則10年間」の加入期間を満たせない場合でも、協定国であれば「母国での加入期間」と「日本での加入期間」を合算(期間通算)し、将来年金を受け取るための受給要件を満たすことができます。
2. 【2026年最新】:社会保障協定の発効国一覧と内容比較
協定を結んでいる国であっても、対象となる内容が「二重加入防止と期間通算の両方ができる国」と「二重加入防止のみの国」に分かれます。対象国は以下の表の通りです(2026年時点:23か国)。
協定の内容(利用できる制度) | 該当国数 | 対象となる協定発効国 |
両方できる (二重加入防止 + 期間通算) | 19か国 | アメリカ、ドイツ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、フィンランド、スウェーデン |
二重加入防止のみ (期間通算はできない) | 4か国 | イギリス、韓国、中国、イタリア |
【補足情報】
2026年4月にポーランドとの間で新たな協定署名が行われましたが、実務面での運用開始(発効)までは通常1〜2年程度の準備期間を要するため、最新情報は随時日本年金機構のホームページ等で確認を行ってください。

3. 【ケース別判定】外国人労働者の厚生年金が免除される条件と具体例
社会保障協定国出身の労働者であっても、雇用形態によって免除される場合とされない場合があります。具体的なケーススタディを見ていきましょう。
ケースA:アメリカ本社から日本の支社へ「3年間」の出向として来日した
判定結果
日本の厚生年金への加入は「免除される」
理由
本国企業からの派遣であり、かつ見込み期間が「5年以内(短期派遣)」に該当するため、母国の制度のみが適用されます。
ケースB:日本の企業が、韓国人留学生を新卒採用で「直接雇用」した
判定結果
日本の厚生年金への加入は「免除されない(加入義務あり)」
理由
協定国(韓国)の出身者であっても、母国の企業からの「派遣(出向)」ではないため、日本国内のルールが適用されます。(ただし、帰国後に韓国側の年金期間と合算して将来受給することは可能です)。
💡 現場のリアルな声(人事担当者の失敗談)
「『協定国出身の社員だから自動的に日本の年金は免除されるはず』と深く確認せずに処理を進めた結果、入社後の初任給で厚生年金が誤って天引きされてしまい、社員から大きな不信感を持たれてしまいました。直接雇用か出向かの確認は、採用決定時に必ず行うべきだと痛感しました。」
4. 外国人社員の厚生年金免除に必要な「適用証明書」取得の実務と手順
日本の厚生年金を適法に免除してもらうためには、「適用証明書(Certificate of Coverage)」の取得と提出が必須となります。手続き漏れを防ぐため、以下の事前チェックリストとToDoリストを活用してください。

事前準備と要件確認チェックリスト
事前の確認不足は手続きの遅延を招きます。以下の項目を採用前〜入社前に必ず確認しましょう。
☑ 労働者の国籍が日本と「社会保障協定」を締結している国に該当するか確認する
☑ 日本での雇用形態が母国企業からの「派遣(出向)」か、日本企業の「直接雇用」かを明確にする
☑ 日本への派遣見込み期間が「5年以内」か「5年超」かを、労働契約書等で確認する
☑ 相手国によって適用証明書の提出形式が「原本必須」か「コピー可」かを確認する
☑ 厚生年金だけでなく、日本の「健康保険」についても免除対象となる国かを確認する
☑ 労働者に帯同する家族がいる場合、日本での住民票の有無(国内居住要件)を確認する
☑ 過去に日本での就労歴がある場合、以前の年金加入歴や免除適用の有無を本人へヒアリングする
行動と手順用ToDoリスト(適用証明書提出の7ステップ)
自動的に免除されることはありません。必ず以下の手順に沿って手続きを進めてください。
☑ 【入社前/本国企業】
本国企業から本国の社会保障政府機関に対し、「○年間日本へ派遣する」旨を伝え、適用証明書の交付申請を行う
☑ 【入社前/本国機関】
本国政府機関の審査を経て発行された「適用証明書(原本)」を、日本へ郵送または本人に持参させる
☑ 【入社時/日本企業】 ★最重要
入社時に労働者の「基礎年金番号」「在留カード(在留資格)」、および「マイナンバー(個人番号)」を必ず確認する。(※特定個人情報にあたるため、法令に基づく厳重な管理と取り扱い説明を徹底してください)
☑ 【入社時/日本企業】
日本側の受け入れ企業にて通常の「資格取得届」を作成し、備考欄等に社会保障協定の適用を受ける旨を正確に記入する
☑ 【速やかに/日本企業】
資格取得届に「適用証明書(原本またはコピー)」を添付し、管轄の年金事務所へ電子申請または郵送・窓口にて提出する
☑ 【提出後/年金事務所】
年金事務所の書類確認を経て、厚生年金の免除決定がなされた通知を確実に保管する
☑ 【就労中/日本企業】
派遣期間が当初の予定より延びて「5年超」になる場合は、期間満了前に速やかに「延長申請」等の追加手続きを行う
入社時の実務上の注意点(3つの落とし穴)
「原本」か「コピー」かは国によって違う
アメリカやドイツなどは適用証明書の「コピー添付」で受理されますが、国によっては厳格に「原本の提示」が求められます。必ず事前に日本年金機構の規定を確認してください。
対象外の国籍の方への対応
ベトナムやネパールなど、外国人労働者が多い国であっても現時点で社会保障協定が発効していないケースが多々あります。この場合、加入義務が発生しますが、将来帰国する際には「脱退一時金」を請求して保険料の一部を取り戻す仕組みが用意されています。
健康保険の免除可否の違い
年金制度の二重加入は免除されても、日本の「医療保険(健康保険)」には加入しなければならない国(イギリス・韓国等)もありますので、セットで免除になると早合点しないよう注意が必要です。
5. トラブル続出!外国人スタッフの健康保険「海外家族扶養」厳格化ルール

外国人労働者の入社時手続きにおいて、社会保障協定と同等にトラブルになりやすいのが「海外に住む両親や子どもを、日本の健康保険の扶養に入れたい」という要望です。
国内居住要件の導入(2020年4月以降のルール)
健康保険法第3条第7項の改正により、日本の健康保険の被扶養者として認定されるためには、原則として「日本国内に住所を有していること(=住民票があること)」が必須要件となりました。
過去には「母国の家族へ定期的に仕送りをしている証明」があれば扶養として認められる運用がなされていましたが、現在は法令によりこの要件が厳格化されており、単なる仕送りの事実だけでは扶養認定として受理されません。
例外として認められる5つのケース
ただし、日本に生活の基盤がありながら、やむを得ない事情で一時的に海外へ渡航している場合は、特例として居住要件を満たすものとして認められる場合があります。
海外の学校に留学している学生(在学証明書等が必要)
外国に赴任する被保険者に同行する家族(ビザや赴任証明等が必要)
観光、保養またはボランティア活動などで一時的に海外に渡航している者
就労以外の目的で一時的に海外に渡航している者
その他、日本に生活の基礎があると認められる特別な事情がある者
💡 現場のリアルな声(採用時のトラブル防止策)
「入社前のオリエンテーションで『母国の両親を扶養に入れたい』と相談され、安易に『できると思います』と答えてしまいました。
結果的に年金事務所で受理されず、『話が違う』と退職問題にまで発展しそうになりました。現在では、採用面接の段階で『日本の健康保険の扶養は、一緒に日本に住んでいる家族に限られます』と明確なルールとして伝えるようにしています。」
人事担当者は、労働者の期待値コントロールを誤らないよう、最新の法令に則った正確な案内を心がけることが、労使間の信頼関係を守る最善の防御策となります。
よくあるご質問(FAQ)
外国人労働者を雇用する場合、日本の社会保険への加入は絶対に必要ですか?
日本の企業と直接雇用契約を結んで働く場合、国籍を問わず「健康保険」および「厚生年金保険」への加入が法律で義務付けられています。ただし、社会保障協定を結んでいる国からの「5年以内の派遣(出向)」などの一定条件を満たせば、年金加入が適法に免除される場合があります。
「適用証明書」が日本への入社日までに本国から届かない場合はどうすればよいですか?
本国での発行が遅れている場合でも、まずは日本の年金事務所へ期日内に通常の「資格取得届」を提出して社会保険に加入します。後日、適用証明書が届き次第改めて適用手続きを行うことで、過去に遡って免除を受け、天引きされた保険料を還付(返金)してもらう対応が可能です。
社会保障協定の対象外の国(ベトナムやネパールなど)の労働者の年金はどうなりますか?
免除の対象外となるため、日本人と同様に日本の厚生年金へ加入し、毎月保険料を納めることになります。ただし、日本での就労を終えて帰国する際に申請要件を満たせば「脱退一時金(年金保険料の掛け捨てを防ぐ払い戻し制度)」を受け取ることができます。
外国人労働者の子どもが海外の学校に留学している場合、日本の健康保険の扶養に入れられますか?
原則として扶養要件は「日本国内に住んでいること」ですが、留学生(学生ビザ等で一時的に渡航している場合)は例外として認められます。この場合、海外の在学証明書やビザの写し、仕送りの事実がわかる送金記録などを年金事務所または健康保険組合へ提出して審査を受けます。
日本の厚生年金が免除された場合、日本の健康保険への加入も同時に免除されますか?
国別の協定内容によって異なります。例えばアメリカやドイツとの協定では、年金だけでなく医療保険(健康保険)の二重加入も防止するルールですが、イギリスや韓国など一部の国では「年金のみ」が免除対象となり、日本の健康保険には加入しなければならないケースがあるため事前の確認が必要です。
【山本行政書士事務所からの無料相談のお問い合わせ】

外国人労働者の社会保険手続きは、国ごとの協定内容の違いや、細かな法令改正によって実務対応が非常に複雑化しています。「自社のケースではどのルールが適用されるのか不安」「手続きの遅れで従業員とトラブルになりたくない」とお悩みの人事・労務ご担当者様は、どうぞお一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
最新の法令知識と豊富な実務経験を持つ専門家が、貴社と外国人スタッフが安心して働ける環境づくりを親身にサポートいたします。
山本行政書士事務所
(代表:行政書士 山本 克徳)
日本行政書士会連合会 登録番号:第24391384号
愛媛県行政書士会 新居浜・西条支部 会員番号:第1142号
【お電話でのご相談】
※土日祝日も対応しております。「ホームページを見た」とお気軽にお電話ください。
【メールでのご相談】
※24時間受付中。原則として24時間以内にご返信いたします。
【事務所所在地】
〒793-0001 愛媛県西条市玉津144番地11
(事前予約にて、ご来所での相談やオンライン面談も承っております)
【WEBからの簡単お問い合わせ】
専門家にお任せいただくことで、法令遵守はもちろん、皆様の貴重な時間を大切に守ることができます。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
【2026年最新】外国人雇用の社会保険ルール:公式法的根拠・参照元一覧
管轄機関 | 参照元テーマ(公式ページへのリンク) | 入力記事のどの内容に対応するか / 最新の法的根拠・法改正の要約 |
日本年金機構 | 記事内の「社会保障協定が担う2つの柱」「協定発効国一覧表」に対応。二重加入防止(5年ルールの原則)と年金加入期間の通算、および英国・韓国・中国・イタリアが二重加入防止のみに限定される点など、最新の締結状況と法的根拠を規定しています。 | |
日本年金機構 | 記事第4章の「『適用証明書』取得の実務と手順」に対応。本国機関への適用証明書の交付申請義務や、来日後の日本事業所における年金事務所への提出など、厚生年金加入免除の適法なステップを定めています。 | |
日本年金機構 | 記事第5章の「海外家族扶養の厳格化ルール」に対応。令和2年(2020年)4月1日施行の法改正による「国内居住要件(日本国内に住民票があること)」と、海外留学生等の「例外として認められる5つのケース」の厳格な判断基準です。 | |
厚生労働省 | 記事第4章の入社時ToDoリスト内「在留カード(在留資格)」の確認義務に対応。雇用対策法(労働施策総合推進法)に基づく届出において、事業主が在留カード等の提示を求めて在留資格等を確認する法的義務の裏付けとなります。 | |
日本年金機構 | 記事第4章の入社時ToDoリスト内「基礎年金番号」「マイナンバー(個人番号)」の確認に対応。外国人を雇用し厚生年金保険の資格取得届を提出する際の、特定個人情報等を用いた本人確認の行政要件を規定しています。 | |
日本年金機構 | 記事の「FAQ(よくあるご質問)」内、協定対象外国の労働者に向けた脱退一時金制度に対応。日本を出国後2年以内の請求要件や支給上限など、外国籍労働者の年金保険料掛け捨てを防ぐための法的権利について規定しています。 |



コメント