暴力から逃れ離婚。外国人の方が日本で自立するために。DVを理由とする告示外【定住者】へ
- 5月3日
- 読了時間: 23分
更新日:6月21日

DV被害を受けて離婚した外国人の方へ 在留資格(ビザ)と生活を守る3つの結論
✅ DVによる離婚でも日本に住み続けられます
日本人や永住者の配偶者からDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けて離婚を余儀なくされた場合でも、「告示外定住(特例の定住者ビザ)」の許可を得ることで、引き続き適法に日本で生活できる道があります。
✅ 「婚姻3年未満」「現在無収入」でも諦めないでください
通常の在留資格変更で求められる「概ね3年以上の同居実績」がなくても、また、シェルター等に避難中で「今すぐ証明できる安定した収入(仕事)」がなくても、DV被害者として人道的な特例救済の対象となる可能性があります。
✅ 身の安全と「働く権利」は確実に守られます
住民票の「支援措置(閲覧制限)」で加害者の追跡をブロックし、離婚成立前(調停中など)の別居期間であっても「特定活動」ビザと働く許可(資格外活動許可)を得ることで、安全を確保しながら日本社会で自立を目指すことができます。
【目次】
第1章 DV被害者保護のための「告示外定住(離婚定住)」とは
【人道的配慮・特別な保護のケース】
DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者の保護
身分系在留資格である「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」を有する外国人の方が、日本人・永住者等である配偶者と離婚した場合、原則として在留資格の基礎を喪失し、次回の在留期間更新は不許可となり本国への帰国を余儀なくされる可能性があります。
これを救済し、日本への継続在留を例外的に認めるのが「告示外定住(離婚定住)」という法務大臣の広範な裁量による枠組みです。
通常の離婚定住においては、「偽装結婚の排除」と「日本社会への定着性の確認」という観点から、「日本での正常な実態のある婚姻期間が概ね3年以上継続していたこと」が実務上の絶対的な目安として要求されます。
しかし、現実の人間社会においては、この「3年の壁」を画一的に適用することが極めて残酷な結果を招くケースが存在します。それが、日本人や永住者の配偶者からひどいDV(ドメスティック・バイオレンス)を受け、自らの命や心身の安全を守るための避難として「離婚を余儀なくされたケース」です。
このような人道的配慮・特別な保護を要する事案に対しては、婚姻期間が3年に満たない場合であっても、帰国すれば生活が困難になったり、保護が必要だったりする被害者の事情を最大限に考慮し、特別に【定住者】が許可される可能性があります。
外国人の方のDV被害者保護の制度趣旨
帰国による著しい不利益と保護の必要性
外国人の方DV被害者の多くは、心身に深い傷(PTSD等)を負っています。さらに、本国の国情や宗教的・文化的な背景によっては、「離婚した女性」に対する偏見などが強く、帰国しても親族からの支援が得られず生活困窮に陥るケースが少なくありません。また、加害者が本国まで追いかけてくる危険性もあります。
「日本国内のシェルターや支援団体のサポートを受けながら、安全な環境で心身を回復し、自立していく必要がある」という人道的な観点が、法務大臣の広範な裁量権の行使(告示外定住の許可)を強く後押しします。
第2章 客観的立証の極意と証拠一覧

客観的立証の極意 〜入管の疑念をどう晴らすか
DV事案における最大のハードルは、「客観的な証拠による立証です。 入管の審査官は、単なる性格の不一致や、在留資格目当ての偽装結婚が早期に破綻しただけの事案を「夫のDVが原因だ」と虚偽申告しているのではないかという、極めて厳しい疑いの目を持ちます。口頭や申請理由書での一方的な主張だけでは絶対に許可されません。
以下の公的・客観的な証拠を迅速に収集・提出することが必要となります。
司法および医療機関が関与した客観的証拠
裁判所の「保護命令」決定書
加害者に対する接近禁止命令などが発令されている場合、DVの事実関係を日本の司法機関が認定したという最強の証拠となります。
調停調書や判決謄本
離婚調停や裁判において、離婚原因が「配偶者からの暴力(DVやモラハラ)」と認定されている公的記録。
医師の診断書
暴行による外傷の診断書だけでなく、精神的DV(モラハラ)によるうつ病や適応障害、PTSDの心療内科・精神科の診断書も極めて重要な証拠です。
行政・民間支援団体が関与した客観的証拠
配偶者暴力相談支援センター等の証明
各都道府県に設置されている支援センターや、女性相談所などに駆け込み、相談・一時保護された公的な記録や「DV被害に関する証明書」。
警察の相談記録
警察署の生活安全課などにDVの相談をした際の受理番号や、出動記録。
民間シェルターの保護証明書
DV被害者を保護する民間団体(NPO等)が発行する入所証明書や支援状況報告書。
第3章 手続きの特質と提出書類・申請理由書の作成方法

手続きの特質と、DV事案における「独立生計要件」
離婚定住の手続きは「告示外」であるため、在留資格認定証明書の交付申請はできず、原則として日本に在留している状態から「在留資格変更許可申請」を行います。ここで大きな壁となるのが、許可条件の一つである「日本で自立して生活する能力(独立生計要件=安定した収入の見込み)」です。
DV被害者の多くは、着の身着のままで逃げ出し、DVシェルターなどに保護されている状態から在留資格の手続きを開始します。当然、その時点で「月収20万円の正社員」といった安定収入を公的な書類で証明することは不可能です。
この点について、入管実務は非常に配慮された運用を行っています。 DV被害事案においては、申請時点において生活保護等の公的扶助を受給していたり、民間支援団体の経済的援助に頼っていたりしても、直ちに「独立生計要件を満たさない」として不許可にされることはありません。 重要なのは、「現在の安全確保(保護)」と、「将来に向けた自立への道筋」です。
後述する申請理由書において、「現在はDVの後遺症を癒すため公的機関の保護下にあるが、心身が回復し次第、就労支援プログラム等を活用して仕事に就き、日本社会で自立して生きていく強い意思と具体的な計画がある」ことを誠実に説明することで、独立生計要件は「将来に向かって満たし得るもの」として、特例的にクリアすることが可能となります。
提出書類のリスト
「日本人の配偶者等」から「定住者」(離婚定住)への変更において、客観的立証責任を果たすために以下の書類を正確に準備・提出する必要があります。
DV事案においては、これらに加えて前述の「DVを証明する客観的証拠」を必ず添付します。
【申請人に関する書類】
離婚の記載のある元配偶者の戸籍謄本
※調停・裁判離婚の途中で在留期限が切れる場合は、裁判所からの「事件係属証明書」を提出し、一時的な期間更新等で繋ぐ高度な対応が必要です。
住民票(世帯全員記載のもの)
※ DV避難に伴い住民票を加害者の元から移せていない場合は、DV被害者を保護するための「住民基本台帳事務における支援措置(閲覧制限)」制度を利用した上で取得するか、事情を記した理由書を添付します。
住民税の課税証明書(または非課税証明書)(最近3ヶ月以内・直近年度のもの)
住民税の納税証明書(※上記で課税証明書が発行された場合のみ)
<職業を証明する書類 >
会社員の場合:在職証明書
自営業の場合:確定申告書の写し
会社役員の場合:会社の登記簿謄本 ※現在無職でシェルター等にいる場合は、今後の就労意欲を示す書類や支援団体の意見書で代用・補強します。
<生活の安定性を証明する書類>
預金残高証明書・不動産登記簿謄本等
申請理由書(※次章で詳述)
パスポート、及び在留カード
※加害者に奪われて手元にない場合は、警察への遺失届出証明書等と理由書を提出し、再交付手続きを並行して行います。
証明写真(縦4cm×横3cm、最近6カ月以内のもの、1枚)
【身元保証人に関する書類】
※申請人に十分な収入がなく、身元保証人が扶養・生活費を負担支援する場合等は以下も必要です。支援団体の代表者や、日本の知人がなるケースが多いです。
身元保証書
身分証明書のコピー
住民税の課税証明書、および納税証明書(最近3ヶ月以内・最新のもの)
職業を証明する書類(会社員は在職証明書、自営業は確定申告書の写し等)
「申請理由書」の作成に関しての注意点
DV事案における「申請理由書」は、単なる事情説明ではなく、事案の成否を分ける最重要書類です。以下の構成で、事実関係を時系列に沿って克明かつ論理的に記載し、入管の「偽装結婚ではないか」という疑念を完全に払拭します。
①【出会いと正常な婚姻の開始】
最初は真実の愛情に基づく正常な結婚であり、実際に同居して夫婦生活を営んでいた事実(スナップ写真やメール履歴などを添えて)を記し、偽装結婚を明確に否定します。
②【DVの発生とエスカレートの経緯】
いつ頃から、どのような暴力(身体的暴力、言葉の暴力、生活費を渡さない等の経済的DV、性的DVなど)が始まったのか。それが申請人の心身にどのような恐怖とダメージを与えたかを具体的に記述します。
③【命を守るための避難と離婚の経緯】
生命の危機を感じ、いつ、どのように警察やシェルター等に避難したか。そして、加害者との離婚に向けた法的手続き(調停・裁判)の経緯を、客観的証拠とリンクさせながら説明します。
④【帰国によって生じる著しい不利益(人道的保護の必要性)】
「なぜ母国に帰ることができないのか」。本国での生活基盤の喪失、離婚女性に対する社会的偏見、加害者が本国まで追跡してくる恐怖など、帰国すれば生活が困難になる事情を具体的に訴えます。
⑤【日本社会での今後の自立計画と誓約】
最後に、日本の法律と社会ルールを厳格に遵守し、心身の回復後はどのような仕事に就き、日本社会に迷惑をかけることなく自立して生きていくかという、前向きで力強い決意と誓約を表明します。
DV被害による「告示外定住(離婚定住)」の申請は、単なる行政手続きではありません。恐怖と絶望の中にいる一人の人間の、日本における「安全な生存権」と「未来」を取り戻すための、極めて重い人権救済のプロセスです。
第4章 加害者の「嫌がらせ」から身と在留資格を守る手続き

「嫌がらせ」などに対する防御・解決策
加害者の「嫌がらせ」から身を守る手続き(支援措置と在留カード)
DV被害者が最も恐れるのは、「逃げた先の住所を加害者に知られること」と、「在留カードやパスポートを加害者に取り上げられて身動きが取れないこと」です。この物理的な恐怖を取り除くための具体的な手続きを記載します。
① 住民票の閲覧制限(DV等支援措置)の具体的なやり方と【最大の注意点】
解説
単に引っ越して新居の住民票を移すと、加害者が戸籍の附票などを通じて新しい住所を追跡し、押し掛けてくる危険があります。これを防ぐために、新住所地の市区町村役場で「住民基本台帳事務における支援措置」を申し出ます。
具体例と鉄則
まず、新住所の役所で「支援措置申出書」をもらい、警察署の生活安全課や配偶者暴力相談支援センターに行って「DV被害の事実」を相談し、意見(ハンコ)をもらいます。それを持って役所に行き、閲覧制限をかけます。
【絶対に守るべき鉄則】
引っ越しの「転入届」を出すのと『同時』、あるいは『前』にこの手続きを行ってください。 先に転入届だけを出してしまうと、閲覧制限の手続きが完了するまでの数日間のタイムラグの間に、加害者に新しい住所の住民票を取られてしまうリスクがあります。
② 在留カード・パスポートを奪われている場合の対処法
解説
加害者が「逃げたら不法滞在になるぞ」と脅すために、在留カードやパスポートを取り上げているケースは多いです。
具体例
決して加害者の元へ取りに帰ってはいけません。以下の手順で完全に無効化し、新しく作り直せます。
まず警察署で事情を話し、カードとパスポートの「紛失届(遺失届)」を出し、「受理番号」をもらいます
※ 夫婦間の持ち出しは警察が「盗難届」として受理しにくい場合があるため、「紛失(遺失)」として処理してもらうのが最も早く確実です。
その足で入管に行き、「DVで逃げてきてカードを奪われている」と事情を説明して『在留カードの再交付申請』を行えば、即日で新しい在留カードが発行されます。
※ 旧カードはその瞬間にシステム上で失効するため、加害者が悪用することもできなくなります。
【パスポートがない場合の救済】
入管で再発行できるのは在留カードのみです。パスポートは母国の大使館で再発行しますが、時間がかかります。
しかし、入管の窓口で「旅券を提示できない理由書(DV被害で加害者が所持しているため等)」を書いて出せば、パスポートが手元に無くても、在留カードの再発行やビザの更新手続きは問題なく受け付けてもらえます。
第5章 「離婚が成立する前(別居中)」の在留資格の守り方
「離婚が成立する前(別居中)」の在留資格の守り方
この記事は「離婚した場合」の定住者変更についてですが、DV事案では「離婚調停や裁判が長引き、離婚が成立する前に現在の『日本人の配偶者等』の在留期限が切れてしまう」というケースが存在します。この「空白期間」の乗り切り方が必須情報です。
【状況別の乗り切り方ノウハウ】
パターンA:すでに家庭裁判所で離婚調停・裁判が始まっている場合
解説
「まだ配偶者だから」と通常の更新申請をしても、同居していない(実態がない)ため不許可になります。
対策
入管へ、現在DVを理由に離婚調停中であることを証明する「事件係属証明書(家庭裁判所で数百円で発行可能)」を提出してください。これにより、調停が終わるまでの間、「特定活動(離婚調停等)」への変更、または在留期間の更新(通常6ヶ月)が認められ、適法に日本に滞在し続けることができる制度があります。
パターンB:逃げ出した直後で、まだ裁判所に手続きをしていない場合
解説
逃げたばかりで弁護士も決まっておらず、裁判所の証明書が出せないうちに在留期限が来てしまうケースです。
対策
焦る必要はありません。配偶者暴力相談支援センターや婦人相談所が発行する「一時保護証明書」や「相談に関する証明書(または相談記録)」、民間シェルターの入所証明を入管に提出してください。
入管はDVの切迫した事情を考慮し、離婚手続きを準備するための期間として、特例で在留期間の更新(6ヶ月等)を認めてくれる可能性があります。絶対にオーバーステイ(不法滞在)にしてはいけません。
第6章 相談窓口と経済的支援(弁護士・生活費・働く権利)

「どこに相談すればいいのか」の具体的な連絡先
パニック状態にある被害者は「じゃあ、今すぐどこに電話すればいいの?」と迷ってしまいます。公的で安全な相談窓口にすぐ繋がるよう、今、現在(電話番号などは変更されることがあります)の連絡先を明記します。
【安全な相談窓口の明記】
DV相談ナビ(内閣府): #8008(はれれば)
電話をかけた場所から、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに自動で繋がります。
DV相談+(プラス): 0120-279-889(つなぐ・はやく)
24時間対応。英語、中国語、タガログ語、ベトナム語など10か国語の外国語対応が可能です。電話が怖い場合は、ホームページからメールやチャットでの相談もできます。
外国人在留総合インフォメーションセンター: 0570-013904
多言語での入管手続き(ビザの更新や変更)に関する国の公式相談窓口です。
解説
日本語がうまく話せなくても、外国語の通訳をつけてくれる公的な窓口が用意されています。DVはあなたの責任ではありません。一人で悩んだり、ビザのために暴力を我慢したりせず、まずは上記の番号に連絡をしてください。必ずあなたを守るために動いてくれる人がいます。
「最後の補足情報」
1. お金がなくても弁護士に依頼できる「法テラス」の存在
「弁護士=高額」というイメージが、被害者の行動を止めてしまいます。国が設立した公的な法的トラブル解決窓口があります。
お金がなくて弁護士に頼めないと諦めないでください
「逃げたいけれど、弁護士費用なんて払えない」と心配する必要はありません。国が設立した「法テラス(日本司法支援センター)」という機関があります。
収入が一定以下(DV被害で無収入であれば確実に該当します)の外国人の方に対して、「無料の法律相談(通訳付きも可能)」を行ってくれます。さらに、裁判や調停にかかる弁護士費用を国が立て替えてくれる制度(民事法律扶助制度)があります。
立て替えてもらった費用は、生活が落ち着いてから月々数千円ずつ無理なく返済していけばよく、生活保護を受給することになった場合は返済が免除されることもあります。お金がなくても、あなたを守って戦ってくれる弁護士は確実に見つかります。
法テラス 多言語情報提供サービス: 0570-078377(平日9:00〜17:00)
2. 逃げた後の「生活費の請求(婚姻費用)」と「働く権利」
「シェルターを出た後、どうやって食べていけばいいのか?」という不安。
離婚が成立するまでの生活費は、相手に請求できます
DVで家を飛び出した後、離婚が成立するまでの別居期間中、あなたには加害者(夫)に対して生活費を請求する法的な権利があります。これを「婚姻費用(こんいんひよう)」と呼びます。
加害者が「勝手に逃げたんだから1円も払わない」と言っても、家庭裁判所の手続き(婚姻費用分担請求)を使えば、相手の給与を差し押さえてでも支払わせることができます。
「特定活動」のビザに変更しても働くことができます
離婚調停中に入管で「特定活動」というビザに変更した場合、「もう配偶者ビザじゃないから働けなくなるのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、入管に事情を説明し「資格外活動許可」を申請すれば、生活していくために働く許可(原則週28時間以内)をもらうことができます。
さらに、「日本人の配偶者等」の時から続けている仕事がある場合や、自立のためにどうしてもフルタイムで働く必要があることを入管にしっかり説明できれば、特例として「週28時間を超えてフルタイムで働く許可(個別許可)」がもらえる可能性もあります。あなたが日本で仕事やお金を失い、飢えるようなことは決してありません。
今、これを見られている方の中には想像を絶する恐怖や孤独の中で、ご自身の命と尊厳を守るために「逃げる」という勇気ある一歩を踏み出した方かもしれません。あるいは、今まさにその一歩を踏み出そうと迷っている方かもしれません。
「家を飛び出したら在留資格がなくなって、母国に強制送還されるのではないか?」 「加害者は『逃げたら在留資格を取り消す』と脅してくる」 「今はお金も仕事もないのに、日本に住み続けることなんてできるのだろうか?」
その不安は、計り知れないほど大きいことでしょう。しかし、この記事でお伝えした通り、日本の法律と入管の制度は、理不尽な暴力から逃れようとするあなたを見捨てることはありません。
「婚姻期間が3年未満」でも、「今現在、シェルターにいて無収入」であっても大丈夫です。「告示外定住」という制度は、まさにあなたのように傷ついた方が、もう一度安全な日本社会で自立し、歩き出すために用意された「命のセーフティネット」なのです。
大切なのは、あなた自身の命と心を守ることです。入管の手続きに必要な証拠集めや書類作成は、一人で抱え込む必要はありません。警察、各都道府県の配偶者暴力相談支援センター、民間シェルター、そして入管業務を専門とする弁護士や行政書士など、あなたを全力で守り、サポートする味方が日本には必ずいます。
まずは安全な場所で、傷ついた心と体をゆっくりと休めてください。
あなたには、暴力に怯えることのない世界で、あなたらしく、安心して笑って生きる権利があります。この記事が、あなたの新しい人生への扉を開くためのお守りとなることを、心から願っています。
【実務上必須のタスクToDoリスト(絶対に失敗できない6項目)】
1. 司法・医療・行政が関与した「客観的なDVの証拠」を迅速に収集するタスク
入管の「在留資格目当ての偽装結婚や単なる性格の不一致ではないか」という厳しい疑念を晴らすため、公的な証拠をかき集めるタスクです。
具体的には、裁判所が発令した「保護命令決定書」や、DVを離婚原因と認定した「調停調書」、心療内科等が発行した「PTSDやうつ病の診断書」、警察の「相談記録(受理番号)」、配偶者暴力相談支援センターや民間シェルターの「保護証明書」などです。
これら第三者機関の客観的証拠がなければ、理由書でどれだけ悲惨なDV被害を訴えても許可されることはないため、避難後直ちに支援機関と連携して確保する必要があります。
2. 加害者の追跡をブロックする「住民票の支援措置(閲覧制限)」の実行タスク
DV加害者が戸籍の附票などを悪用して逃げ先の新住所を特定し、押し掛けてくる物理的危険を完全に遮断するための手続きタスクです。
新住所地の役所で「支援措置申出書」を受け取り、警察やDV支援センターで被害の事実認定(押印)を受けた上で役所に提出し、住民票の閲覧制限をかけます。
ここで実務上絶対に守るべき鉄則は、引っ越しの「転入届」を出すのと『同時』または『前』にこの手続きを行うことです。
先に転入届だけを出すと、制限がかかるまでのタイムラグの間に加害者に新住所を抜かれる致命的なリスクがあるためです。
3. 奪われた在留カードの無効化と「即日再交付申請」を行うタスク
加害者が「逃げたら不法滞在になるぞ」と脅して在留カードやパスポートを取り上げている場合、それらを無効化して身分証明を取り戻すタスクです。
決して加害者の元へ取りに帰ってはいけません。まずは警察署で「紛失届(遺失届)」を提出して受理番号をもらい、その足で管轄の入管へ直行して「DV被害で奪われた」旨を説明し、『在留カードの再交付申請』を行います。
これにより即日で新しい在留カードが発行され、加害者の手元にある古いカードはその瞬間にシステム上で失効するため、偽造や悪用を防ぎ適法な在留を維持できます。
4. 離婚成立前(調停中)の「特定活動」への変更と在留期限の死守タスク
離婚調停や裁判が長引き、現在の「日本人の配偶者等」の在留期限が離婚成立前に切れてしまう場合、オーバーステイを絶対に防ぐためのタスクです。
同居実態がないため通常の更新は不許可になるため、家庭裁判所で「事件係属証明書」を取得し、入管に提出して「特定活動(離婚調停等)」への変更、または特例的な在留期間の更新(6ヶ月等)を行います。
まだ裁判所に手続きをしていない逃げた直後の場合でも、シェルターの「一時保護証明書」を出せば特例で期限が延びる可能性があるため、絶対に期限切れを放置してはいけません。
5. 「申請理由書」における独立生計要件(将来の自立)の論理的立証タスク
告示外定住の審査で求められる「日本で自立して生活する能力」を満たすため、現状無収入であっても将来性をもって入管を説得するタスクです。
理由書において、DVの経緯や帰国できない人道的理由を克明に記すだけでなく、「現在はDVの傷を癒すためシェルターで生活保護等の公的支援を受けているが、心身が回復し次第、就労支援プログラムを活用して職に就き、日本のルールを守って自立する」という明確な意思と具体的な計画を表明します。
これにより、現在の無収入を理由にした不許可を回避し、特例的な許可を引き出します。
6. 法テラスの活用と「婚姻費用分担請求」による当面の生活費確保タスク
「お金がないから逃げられない、弁護士にも頼めない」という被害者の経済的ハードルを、日本の公的制度を使って解決するタスクです。
収入が一定以下の外国人でも利用できる「法テラス」に連絡し、無料の法律相談と弁護士費用の立て替え(民事法律扶助制度)を申請します。
さらに、弁護士を通じて加害者に対し別居中の生活費である「婚姻費用」を請求し、相手の給与を差し押さえてでも支払わせます。
また入管で「資格外活動許可」を得て働く権利を確保し、経済的な不安をなくすことで、安心して在留資格の手続きに専念できるようにします。
【よくあるご質問】
Q. DVが原因で離婚した場合、婚姻期間が3年未満でも「定住者」になれますか?
A. はい、許可される可能性があります。通常の離婚定住では概ね3年以上の婚姻期間が要求されますが、ひどいDVを受けて離婚を余儀なくされた場合は、人道的配慮・特別な保護を要する事案として、3年に満たない場合でも特例的に「告示外定住(離婚定住)」への変更が認められる可能性があります。
Q. 入管にDVの事実を認めてもらうには、どのような証拠が必要ですか?
A. 口頭や理由書での一方的な主張では許可されません。裁判所の「保護命令決定書」や「調停調書」、医師の「診断書(外傷やPTSD等)」、警察の「相談記録」、配偶者暴力相談支援センターや民間シェルターの「保護証明書」など、司法・医療・行政が関与した客観的・公的な証拠が必要です。
Q. 逃げた先の新しい住所を、加害者に知られないようにするにはどうすればいいですか?
A. 新住所地の市区町村役場で「住民基本台帳事務における支援措置(閲覧制限)」を申し出てください。警察や支援センターでDV被害の意見をもらい役所に提出することで、加害者による住民票等の追跡をブロックできます。【最大の注意点】として、この手続きは必ず引っ越しの「転入届」を出すのと『同時』か『前』に行ってください。
Q. 在留カードやパスポートを加害者に取り上げられている場合はどうすればいいですか?
A. 決して取りに帰ってはいけません。まず警察署で「紛失届(遺失届)」を出して受理番号をもらい、その足で入管に行き『在留カードの再交付申請』を行えば即日で新しいカードが発行され、古いカードは無効化されます。パスポートが無い場合も、入管で「旅券を提示できない理由書」を書けば手続き可能です。
Q. 離婚調停中(別居中)に在留期限が切れてしまう場合はどうすればいいですか?
A. 絶対にオーバーステイにしてはいけません。入管へ、家庭裁判所発行の「事件係属証明書」や、支援センターの「一時保護証明書」等を提出してください。調停が終わるまでの間、「特定活動(離婚調停等)」への変更や、特例での在留期間の更新(通常6ヶ月等)が認められ、適法に日本に滞在し続けることができます。
Q. 弁護士を頼むお金も、当面の生活費もなくて不安です。働くことはできますか?
A. お金がなくても「法テラス」を利用すれば無料法律相談や弁護士費用の立て替え(民事法律扶助制度)が受けられます。また、離婚成立までは加害者に生活費(婚姻費用)を請求できます。さらに、離婚調停中に「特定活動」ビザに変更した場合でも、入管で「資格外活動許可」を得れば原則週28時間以内の就労が可能になり、特別な事情を説明すればフルタイムでの就労が個別に許可されるケースもあります。

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