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民事信託⑨

  • 2025年9月16日
  • 読了時間: 3分

「残余財産の帰属先の定め」


民事信託では、信託終了事由が発生し、信託が終了し、信託財産から債務や支払うべき諸費用などを差し引いた後に残った財産(残余財産)を受け取る権利を有する者を帰属権利者と呼びます。この残余財産帰属権利者は、信託契約で自由に設定できます。信託契約で定めがない場合には、委託者、委託者が死亡している場合にはその相続人、さらには最終的に、受託者が帰属権利者となります。注意する点として、当事者間の途中終了(または解除)の場合でも信託契約に定められた帰属権利者に帰属し、当然には委託者のところには戻ってこないことです。信託契約書に帰属権利者が明記されていない、または、帰属権利者が権利を放棄したり、先に死亡していた場合には委託者が帰属権利者となります。信託契約を途中で終了(または解除)させようとするときには、①信託終了事由は発生しているのか?②帰属権利者は誰になっているのか?をしっかり確認して終了させるようにします。信託契約で委託者兼受益者の死亡による終了事由の場合の帰属権利者と、合意終了などの途中で終了事由が発生してしまった場合の帰属権利者の2つの定めてしておくこともできます。信託終了時に第一順位の帰属権利者が既に死亡していた場合を想定して、第二順位の帰属権利者も指定しておきましょう。信託終了時に委託者の財産を委託者に帰属させる場合には税金はかかりませんが、委託者以外の者に帰属させようとする場合には、税金が発生する可能性があります。このようなことも踏まえて、民事信託を締結しようとするときには、専門家に相談することをお勧めします。



「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況なった場合等の判断の定め」


信託契約締結時には、委託者、受託者の人に判断能力は必要です。特に委託者兼受益者の場合は契約締結時に既に高齢となっているケースが多く、委託者兼受益者の保護において重要となります。判断能力の低下の判断基準は、法律によって定められているわけではなく、個別に判断されなければなりません。原則として「状況を理解し、適切な意思決定を行える能力があるか」とされています。このような場合に、誰がどのようなことを基準に判断するのかを定めておきます。例えば、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況になった場合」又は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分になった場合」の判断は、医師が作成した診断書に基づき、受託者が判断する。などと明記しておきます。受託者が、判断能力の低下によって、後見開始または保佐開始の審判を受けた場合には、受託者の任務は終了します。(開始の審判を受けるまでは受託者のままで任務は終了しない)このようなことが起こった場合や、受託者の辞任、解任に備えて後継受託者を指定しておきましょう。受託者がいない状態が1年以上続くと信託は終了してしまいます。後継受託者に関して、あらかじめ指定しておくことも、指定の方法も定めておくこともできますが、その者に事前に承諾を得ておくことをお勧めします。



「信託契約に定めのない事項」


信託契約に定めのない事項に関しては、信託法の規定が適用されますが、当事者の合意によって、信託契約の目的の範囲内においては、信託法の規定とは異なった取り扱いをすることも可能です。各当事者が本信託契約の本旨及び信託法の規定等に従い誠実に協議することを合意して、明記しておきましょう。

 


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山本克徳


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