民事信託⑦
- 克徳 山本
- 2025年9月13日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年9月15日
「受益者代理人選任に関する定め」
受益者について、認知症や重度障害のある場合や、そうなることが予想される場合は、信託契約の段階の時に受益者代理人を選任します。受益者代理人になれる人に法的に制限はありません。しかし、受益者代理人の権限は強力で、受益者代理人が権限を行使すれば受益者本人は受託者を監督する権限を除き自分で権利行使ができなくなります。そのため、家族内での財産の管理・承継を図る家族信託を設定したい場合などは、第三者を受益者代理人に就任させることは避けるべきです。信託契約時に適任者がいないときは、慌てて受益者代理人を決めずに、信託契約で「受益者から受託者に対して、受益者代理人を指定したい旨の書面による申し出があったときは、受託者は信託監督人と協議の上、受益者代理人を指定することできる。」などの規定を設けておくと後から指定することもできるので、必ず受益者代理人の規定は定めておきましょう。このような規定がないと、後から受益者代理人を選任することはできません。
「受益者代理人指定の該当事由の定め」
信託契約ではまず受益者代理人を指定できる事由を決定させます。「受益者が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にあるとき。」など信託契約の目的に従って設定しておきます。信託監督人を設定しているような場合には、信託監督人と協議の上で指定できるようにしておくと安心度はさらに増します。その他に、受益者代理人の死亡や、受益者代理人の判断能力の低下などのとき。受託者は受益者代理人になれないので受益者代理人が受託者に就任したときなどの任務終了事由も規定しておきます。信託契約は長期間にわたる可能性があるので、受益者代理人の辞任についても、「受益者の同意を得た上で辞任することができる。」などの規定も必要となります。
「信託監督人の指定の定め」
信託監督人の業務は、帳簿等を見たりして受益者の利益が守られているかを確認するとともに、受託者がきちんと信託業務を遂行しているのかを監督します。自らが信託財産を管理・運用することはできません。信託監督人は信託契約において必須ではありませんが、受益者について、判断応力が低下している場合や、未成年者であるなどのときに、受託者の不正行為に対する取消権限など、信託契約書で明記されている場合は権限行使可能ですので指定します。信託監督人は、受益者の利益保護のために受託者を監督することが可能であり、信託の目的に従って公正な業務を行うことができる人物であることが必要です。委託者・受託者・受益者の人柄をよく知る身近な親族等に依頼するようにしましょう。その他に、信託監督人の辞任や信託監督人の任務終了事由、報酬などの規定も定めておきます。信託監督人の権限も規定しておきますが、信託監督人の権限が多かったり、強力であったりするのは本来の民事信託の姿ではないと思います。このようなことも踏まえて、民事信託契約を締結しようとするときは、専門家に相談することをお勧めします。
山本行政書士事務所
山本克徳
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