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民事信託⑤

  • 2025年9月10日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年9月12日

「受託者による信託財産の管理方法の決定」


委託者の全財産を棚卸して、その中から信託財産とすべきものを信託行為(信託契約書等)で決定されれば(将来において発生する財産も信託財産とすることできる)、受託者がどのようにその信託財産を管理するかを決定していきます。受託者は、委託者から信託財産を託され、信託目的に従って受益者のために信託財産の管理・処分等(信託事務)を行います。信託事務の処理にあたっては受益者の利益のために、前述した忠実義務かつ善管注意義務が求められます。なお、「この義務を怠らない限り、信託財産の価格の下落、その他原因の如何にか関わらず、受益者または信託財産に関して生じた一切の損害等について、委託者及び受益者に対して責任を負わない。」など受託者免責条項もあると受託者も安心して信託事務が遂行できます。信託事務は、原則として受託者自らがその事務を遂行することとされていますが、第三者に委託する旨または委託できる旨の定めがある場合や、業務上必要な場合などは信託事務の委託をすることもできます。ただし、この場合でも信託事務の一部を委託できるのであり、全部を委託できるわけではありません。



「受託者による信託財産の管理の内容」(賃貸借契約の場合)


受託者は、信託財産の管理・処分など、受益者の身上に配慮したうえで、原則として、受託者の裁量により、信託目的達成のために必要なすべての行為をすることができます。例えば、既に賃貸借契約が締結されている信託財産を信託されたときは、当該賃貸借契約上の賃貸人の地位(一切の権利義務を含む)を委託者から承継し、委託者は引き渡しと同時に当該既存賃貸借契約に関する契約書その他の賃貸借契約に関する書類を受託者へと交付します。そして今まで委託者が預かっていた保証金は受託者へ引き渡されることになります。委託者は賃貸不動産の引き渡し後、賃貸不動産の賃借人に対し、賃貸人が受託者に変更になった旨及び賃料を受託者に支払うように通知します。新たに信託不動産を賃貸不動産として、管理・運用・処分を行うようになった場合は、受託者の裁量で第三者と賃貸契約を締結し、第三者から賃料を受領することもできます。その契約の際に受託者は、自らの裁量において賃料その他の諸条件を決定することもできます。その賃料は原則として、信託契約のために開設した信託専用の口座によって管理しますが、この賃料を信託不動産の修繕費用や保証金債務の返済金に充当するため、受託者が必要と認めたときは、受託者が適当と認める方法により、信託収益の一部を積み立てることもできます。



「受託者による信託不動産の売却・処分」


受託者は、信託契約において処分権限が与えられ ていれば、受託者単独で信託不動産の処分をすることができます。しかし、信託契約は長期間にわたる契約になりますので、少しでも危険を回避するため、「受託者は、信託不動産の老朽化等によりその管理が難しいと判断した時など信託の目的に照らして相当と認めるときは、受益者の同意を得た上で、適切な時期に信託不動産を売却し、解体する等の処分をすることができる」など受益者の同意なしでは処分ができなくしておくことも有効です。信託不動産を担保として担保権設定するときも、「受益者の同意を得た上で、受益者または受託者を債務者として担保権設定し、担保権設定登記をすることができる。」などの定めをしておくこともトラブル回避につながる有効な手段と言えます。



以上のよう受託者の信託事務は多岐にわたります。その受託者に万が一のことがあれば、信託契約はその時点で終了してしまいます。その他にも信託契約は長期間にわたるため、受託者自身が辞任したいと考えることがあってもおかしくはありません。そのために後継受託者を指定しておくことが重要となります。後継受託者は必ず指定しておかなければならないわけではありませんが、金融機関で信託口口座開設の時には、必ず求められます。信託契約当時に後継受託者が見つからないときは、後継受託者の定め方を信託契約書に記載しておきましょう。



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