民事信託③
- 克徳 山本
- 2 日前
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「受託者の候補を挙げること」
民事信託契約作成にあたり、まずは委託者の人間関係、親族関係を把握し、委託者、受託者、受益者、その他の信託関係人となる候補者を確認します。この場合に、前述したとおり自益信託(委託者と受益者を同一人)とすることで信託の前後での経済的価値(使用収益権)の移動がないため信託設定時に贈与税が課税されないこの自益信託が基本とする場合が多いです。受託者は未成年者と判断能力の不十分な人以外なら誰でもなれますが、信託財産を管理する期間が長期間にわたる上に、重要な役割を担う責任があるため、委託者が心から信頼できる人を選ぶことが大切です。もちろん委託者自身が受託者となることもできます。このケースは例えて言うと、障害のある子どものために、親が自分の財産を自分が生きている間は自分で管理して、その親の死後、信頼できる人や法人に管理を引き継いでもらって、そこから発生した利益は、障害のある子が得られるようにする自己信託というものになります。この自己信託の場合でも、信託契約は契約に定められた財産にのみ効力を生じるので、子の生活や介護等までを定めることはできません。このことを補うには、任意後見制度や成年後見制度、遺言などと組み合わせ、総合的に子の生活を守る仕組み作りが重要となります。受託者の監督人として信託監督人を設定しておくのも、長期間の信託事務をスムーズに行う上では効果的と言えます。
「受益者の候補」
受益者は前述のとおり、誰でもなることができますが、その信託の目的と受益者の選定が合致しているかが必要となります。更には信託財産からの利益を確実に受けとる事のできる人物を選定することも重要です。特に、判断能力の低下する可能性のある場合には受益者代理人を設けることを検討します。受益者の判断能力が低下し、自身の権利を適切に行使できなくなった場合に、その権利を代行し、受益者を保護するために設定します。この受益者代理人は利害関係人の申立てや裁判所によって選任されるものではないため、信託契約時にあらかじめ設定するようにします。しかし受益者代理人の業務が開始されると、受益者本人は、原則として、信託の継続に係る自身の権利行使ができなくなります。これを防ぐために、信託契約や遺言で信託行為の段階から「受益者代理人が業務を開始しても受益者自身の権利行使を制限しない」といった特約を設定することで受益者の権利行使の制限を最小限に抑えることができます。受託者兼受益者とすることは、信託された財産を受益者のために管理運用することが信託においての本来の目的となるため、最初からはできなと考えられています。
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