民事信託①
- 克徳 山本
- 6 日前
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更新日:2 日前
「民事信託」とは
自身の財産を、信頼できる人に託し、家賃等の利益を得る人のために、一定の目的に従って、管理・運用・処分をしてもらう財産管理のことです。財産の所有者、財産を託す人のことを「委託者」、財産を託され管理・運用・処分する人のことを「受託者」、財産の運用・処分によって利益を得る権利を有する人のことを「受益者」と言います。その墓の登場人物として、受益者のために受託者を監視・監督する「信託監督人」や受益者の代理人として受益者の権利を行使する「受益者代理人」がいます。
「委託者」とは
信託する財産を所有している人で、その人が信頼できる人を受託者として信託契約を締結して、自身の財産をその信頼できる受託者に託す人のことを委託者と言います。この委託者は、信託財産の運用や管理・処分の方針(信託目的=誰のために、どのように管理・運用してほしいのか)を決定し、その目的を実現するために信託契約を設定することとなります。その他に、信託状況の監督、信託契約の内容の変更に関与する権利を持つこともできます。
委託者には認知症などで、判断能力を失っていない、信託契約を締結できる能力のある人であれば誰でもなることができますが、未成年者の場合は契約締結するためには、親権者や法定代理人の同意が必要となります。
「受託者」とは
委託者から託された財産(信託財産)を受益者のために、管理・処分する人のことです。受託者は委託者が設定した信託目的に従って、受益者のために財産を管理・処分する義務を負い、未成年者を除き特別な資格などは不要で個人はもちろん法人もなることができますが、財産管理は長期にわたり、義務も発生するため委託者との信頼関係はとても重要となります。受託者は、財産の所有者になるわけではありませんが信託契約後には名義は受託者に移り、所有権が使用収益権と管理処分権の2つにわかれたうちの、管理処分権を持つようになります。
受託者には信託法により以下の義務を負っています。
①信託事務遂行義務
受託者は、信託目的の達成のため、信託の本旨(信託行為の庇護にある委託者の意思)に従って信託事務を処理しなければならない。
②善管注意義務
受託者は、信託事務を遂行するにあたっては、善良な管理者の注意をもってしなければならない。
③忠実義務
受託者は、受益者のために信託事務の処理その他の行為をしなければならない。よって受託者は、原則として利益相反行為や競合行為の禁止。
④公平義務
受益者が2人以上ある場合に、受託者は、各受益者のため公平にその職務を行わなければならない。
⑤分別管理義務
受託者は、信託財産と受託者固有の財産を一定の方法により分別して管理しなければならない。(分別管理ができていないと、金融機関で信託自体が有効に成立していないとみなされる。)
⑥信託事務処理者の監督義務
受託者は、原則として、信託事務を委託した第三者に対し、信託目的の達成のために必要かつ適切な監督を行わなければならない。(委託した場合の管理・監督義務)
⑦信託事務の処理状況についての報告義務
受託者は、委託者または受益者から請求があった場合には、受託者の事務処理の状況及び信託財産等の状況について報告をしなければならない。(定期的にすると良い。請求があれば必ずしなければならない。)
⑧帳簿等の作成・保存の義務
受託者は、信託期間中、随時「信託帳簿」及び「信託事務の処理に関する書類」を作成して、保存しなければならない。(通帳の出入金の管理など、収益性の高い不動産(アパート、ビル等)はある程度、詳しい帳簿が必要となる。)
山本行政書士事務所 山本克徳
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