日本人辞める?辞めない?【国籍の離脱】について解説。
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更新日:17 時間前
「日本と外国、両方のパスポートを持っているけれど、このままでいいの?」 「期限を過ぎたら日本国籍がなくなるって本当?」こうした不安を抱える方は、グローバル化が進む中で年々増えています。結論から言えば、「放置」が最も危険な選択肢かもしれません。 日本の法律(国籍法)には明確なルールがあり、それを知らずに過ごすことは、将来的な相続や再入国、あるいは予期せぬ国籍喪失といったトラブルを招く火種になりかねないからです。
国籍選択制度の根本的な考え方
日本の国籍法は、「一国籍の原則」を基本としています。これは、一人が複数の国の権利と義務を持つことで生じる法的混乱を避けるためのものです。そのため、外国と日本の両方の国籍を持つ「重国籍者」は、法律で定められた期限内に、自らの意思でどちらか一つの国籍を選択しなければなりません。この選択は、単なる事務手続ではなく、「自分はどの国の国民として生きていくか」を決める、人生において極めて重要なステップとなります。
「重国籍者」に該当するとは?
重国籍となる代表的な5つのケース。
① 父母の国籍制度の違い(血統主義の組み合わせ)
日本の国籍法は「父母両系血統主義」を採っていますが、世界には異なる考え方の国があります。
ケース1:日本人の母 + 「父系血統主義」の国の父
具体例: 母親が日本人で、父親がクウェート国籍の場合。クウェートは「父親の国籍を子に継承させる」という父系血統主義です。この場合、子は生まれた瞬間に、母を通じて日本国籍を、父を通じてクウェート国籍を同時に取得します。
ケース2:日本人 + 「父母両系血統主義」の国の外国人
具体例: 父親(または母親)が日本人で、もう一方が韓国国籍の場合。韓国も日本と同様に「父または母のいずれかが自国民であれば、子に国籍を与える」という考え方です。この場合、子は出生により日韓両方の国籍を持ちます。
② 出生地による取得(生地主義の国での誕生)
ケース3:日本人の親 + 「生地主義」の国で生まれた子
具体例: 両親ともに日本人であっても、仕事の都合などでアメリカ、カナダ、ブラジル、ペルーといった「その国で生まれた者に国籍を与える(生地主義)」の国で出産した場合です。子は、血統により日本国籍を持ち、出生地によりその国の国籍も持つことになります。
③ 届出や身分変化による取得
ケース4:身分関係の変化による外国籍取得
具体例1(認知): 日本人の母から生まれた子が、後にカナダ国籍の父から法的に「自分の子である」と認知され、カナダの法律で国籍を得た場合。
具体例2(養子縁組): 日本人が、イタリア人の養子となり、イタリア国籍を取得した場合。
具体例3(婚姻): 日本人が、イラン人と結婚し、イランの法律によって自動的、あるいは手続を経てイラン国籍を取得した場合。
④ 日本国籍取得後の継続保有
ケース5:帰化や国籍取得の届出をした人
具体例: 元々外国籍だった方が、法務大臣の許可を得て日本に「帰化」した、あるいは国籍取得の届出をして日本国籍を得たものの、まだ元の国の国籍を離脱していない場合です。
【重要アドバイス】
外国の国籍制度は、その国の法律改正によって頻繁に変わります。自分が外国籍を持っているかどうかの最終的な確認は、日本にあるその国の大使館や領事館、あるいは現地の政府に直接問い合わせる必要があります。
【期限厳守】いつまでに選択しなければならないか
令和4年(2022年)4月1日の民法改正(成年年齢の引き下げ)に伴い、選択期限が変更されています。ここは非常に間違いやすいポイントですので、正確に把握してください。
18歳に達する以前に重国籍となった場合
期限:20歳に達するまで
(旧法では22歳まででしたが、現在は20歳に達するまでと短縮されています)
18歳に達した後に重国籍となった場合
期限:重国籍となった時から2年以内
もし期限を過ぎてしまったら?
すべての重国籍者には、「20歳まで(または重国籍から2年以内)」という共通の期限が課されています。どのパターンで手続を進めるにせよ、この期限内に行うことが法的に求められておりますがこの期限に間に合わなかったとしても「もう手遅れだ」と諦める必要はありません。期限を過ぎても、重国籍者は国籍選択の義務を負い続けます。 ただし、放置し続けると、法務大臣から「国籍選択の催告」という通知が届く可能性があります。この催告を受けた日から1か月以内に日本国籍の選択をしなければ、原則として日本国籍を自動的に失うことになりますので、非常に危険です。
【全4パターン】国籍選択の具体的な手続と必要書類
ここからは、具体的な手続きの内容となります。どの国籍を選ぶかによって、4つの道に分かれます。
パターンA:外国の国籍を選択し、日本の国籍を離れる
1-(1) 日本の国籍を離脱する方法(国籍法13条)
自ら「日本の国籍を捨てます」という意思表示をする手続です。
要件: 重国籍者であること。
届出先
日本国内に住んでいる場合:住所地を管轄する法務局・地方法務局。
海外に住んでいる場合:日本の大使館・領事館。
必要書類(添付書類)
戸籍謄本(日本の戸籍を確認するため)。
住所を証明する書面(住民票や在留証明書など)。
外国国籍を有することを証明する書面(外国のパスポートや国籍証明書など)。
提出する届書: 「国籍離脱届」。
結果: 日本国籍を喪失し、重国籍が解消されます。
1-(2) 外国の法令に従って外国籍を選択する方法(国籍法11条2項)
相手国の法律に基づいて、その国の国籍を選んだ(または維持した)場合に、日本側でその事実を報告する手続です。
要件: 当該外国の法令により、その国の国籍を選択したこと。
届出先: 日本の市区町村役場、または日本の大使館・領事館。
必要書類
外国国籍を選択したことを証明する書面。
提出する届書: 「国籍喪失届」。
注意点: 相手国側での選択手続(どうすれば相手国籍を選択したことになるか)については、その国の大使館や政府に事前に相談してください。
パターンB:日本の国籍を選択し、外国の国籍を離れる
2-(1) 外国の国籍を離脱する方法(国籍法14条2項前段)
まず相手国の手続で外国籍を捨て、その後に日本へ報告する方法です。これが最も確実に重国籍を解消できる方法です。
要件: 当該外国の法令により、その国の国籍を離脱したこと。
届出先: 日本の市区町村役場、または日本の大使館・領事館。
必要書類
外国国籍の離脱(喪失)を証明する書面。
提出する届書: 「外国国籍喪失届」。
注意点: 離脱の手続は国ごとに全く異なります。「簡単に離脱できる国」もあれば「非常に困難な国」もありますので、必ず相手国の大使館等に相談してください。
2-(2) 日本の国籍の選択を宣言する方法(国籍法14条2項後段)
「私は日本の国籍を選び、外国の国籍を放棄します」と日本政府に対して誓う方法です。手続が最も簡便なため、多くの方がこの方法を検討されます。
要件: 日本国籍を選択する意思があること。
届出先: 日本の市区町村役場、または日本の大使館・領事館。
提出する届書: 「国籍選択届」(「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」旨を記載したもの)。
この方法の「法的効果」と「努力義務」について
この届出をすれば、法律上の国籍選択義務は履行したことになります。そのため、法務大臣から「催告(早く選べという命令)」を受ける心配はなくなります。
ただし、この宣言だけで自動的に外国籍が消滅するかどうかは、相手国の法律によります。
もし宣言をしても外国籍が残ってしまった場合、国籍法第16条第1項により、その外国国籍の離脱に努めなければならない(努力義務)と定められています。
外国の法制度に基づいた離脱手続の検討(努力義務)
日本国籍の選択宣言をした後も外国籍を喪失していない場合、その国の法律に従って国籍を離脱するための手続を進めるよう努める必要があります,。
専門機関への相談: 「具体的にどうすれば離脱できるのか」を調べ、実行することが求められます。その具体的な相談先として、「当該外国の政府」または「日本に駐在する外国の公館(大使館・領事館)」が指定されています。
なぜ「義務」ではなく「努力義務」なのか
国籍の喪失(離脱)は、その国家の専権事項(その国が独自に決めること)です。日本政府が「あなたの外国籍は消滅しました」と一方的に決めることは、他国の主権を侵害することになりかねないため、不可能です。そのため、日本の国籍を選択した人に対しては、「自らの意思で、相手国の手続を通じて外国籍を放棄するよう最大限努めてください」という形(努力義務)をとっているのです
外国籍を選択した場合、日本の戸籍はどうなる?
外国籍を選択した場合、日本の国籍を失うことになり、結果として日本の戸籍からは除籍されることになります。その具体的なプロセスと戸籍に関連する手続の大まかな流れとなります。
外国籍を選択(日本国籍を離脱・喪失)するパターンには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
1. 日本の国籍を離脱する方法(国籍法13条)
自らの意思で積極的に日本国籍を放棄する手続です。
手続: 法務局・地方法務局、または外国にある日本の大使館・領事館に「国籍離脱届」を提出します。
戸籍との関わり: 届出の際、日本国籍を有していることを証明するために「戸籍謄本」を添付書類として提出する必要があります。
結果: この届出が受理されると日本の国籍を喪失し、外国国籍のみとなります。これにより、日本の戸籍からは除かれることになります。
2. 外国の法令により外国籍を選択する方法(国籍法11条2項)
当該外国の法令に従ってその国の国籍を選んだ結果として、日本国籍を失う手続です。
手続: 市区町村役場、または外国にある日本の大使館・領事館に「国籍喪失届」(戸籍法103条に基づく)を提出します。
戸籍との関わり: 市区町村役場は戸籍を管理する窓口であるため、この届出を行うことで、戸籍に「国籍喪失」の事実が記載され、戸籍から除かれる(除籍)手続が進められます。
結果: 手続完了後は外国国籍のみとなり、重国籍状態は解消されます。
どちらの方法をとった場合でも、最終的には「外国国籍のみとなり、重国籍は解消される」という状態になります。日本の戸籍は日本国民であることを前提とした公証制度であるため、日本国籍を喪失した時点で、その方の戸籍は閉鎖(または除籍)されることになります。
なお、具体的な戸籍の記載内容や事後の手続について確認したい場合は、最寄りの法務局や市区町村役場、または在外公館の専門窓口へ相談することが推奨されています。
迷ったらどうする? 相談窓口のご案内
国籍の手続は、個別の事情(生まれた場所、親の状況、相手国の法律)によって千差万別です。資料では、以下の窓口での相談を推奨しています。
法務局・地方法務局(国内にお住まいの方)
日本の大使館・領事館(海外にお住まいの方)
市区町村役場(戸籍の窓口)
また、15歳未満の方が行う場合は、親権者などの法定代理人が代わって手続を行う必要があります。
15歳未満の場合の法定代理人の手続き。
国籍法に基づく「国籍の選択」において、対象となる方が15歳未満である場合は、ご本人が手続を行うのではなく、法定代理人(通常は親権者である父母など)が本人に代わって全ての手続を行う必要があります。
15歳未満の方の手続における基本原則
国籍の選択は、自己の意思に基づくことが原則ですが、15歳未満の方は法的な判断能力を補完するため、法定代理人がその意思決定と届出を代行します。
届出人: 15歳未満のご本人ではなく、法定代理人(父や母など)の名前で届出を行います。
窓口: 日本国内であれば市区町村役場や法務局、海外であれば日本の大使館・領事館です。
法定代理人が行う具体的な4つの選択手続
選択する国籍に応じて、以下のいずれかの手続を法定代理人が代行します。
【日本の国籍を選択する場合】
① 日本の国籍の選択を宣言する方法(国籍法14条2項後段) 法定代理人が、市区町村役場または大使館・領事館へ出向き、「国籍選択届」を提出します。
届出内容: 「(本人が)日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄する」という旨を宣言します。
備考: この届出により日本での選択義務は果たしたことになりますが、その後も外国国籍の離脱に努める義務が生じます。
② 外国の国籍を先に離脱する方法(国籍法14条2項前段) 先に外国の法令に従ってその国の国籍を離脱したあと、法定代理人が「外国国籍喪失届」を提出します。
届出先: 市区町村役場または外国にある日本の大使館・領事館。
必要書類: 外国国籍の離脱(喪失)を証明する書面を添付する必要があります。
【外国の国籍を選択する場合】
③ 日本の国籍を離脱する方法(国籍法13条) 日本国籍を手放す積極的な手続です。法定代理人が「国籍離脱届」を提出します
届出先: 住所地を管轄する法務局・地方法務局、または日本の大使館・領事館。
必要書類: 戸籍謄本、住所を証明する書面、および「外国国籍を有することを証明する書面(パスポート等)」を添付します。
④ 外国の法令により外国籍を選択した場合(国籍法11条2項) 相手国の法律でその国の国籍を選んだ事実を日本に報告します。法定代理人が「国籍喪失届」を提出します。
届出先: 市区町村役場または日本の大使館・領事館。
必要書類: 外国国籍を選択したことを証明する書面を添付します。
法定代理人による手続のポイントと注意点
父母が共同で親権を持つ場合: 通常、届出は親権者である父母の署名・捺印が必要になります。具体的な記入方法については、事前に届出先の窓口で確認することをお勧めします。
外国国籍の確認: 外国籍の離脱や選択の方法は国によって全く異なります。法定代理人として手続を進める前に、必ず当該外国の政府や駐日大使館・領事館に相談してください。
期限の意識: 15歳未満であれば期限(20歳まで)には余裕がありますが、将来の進学や生活設計を考慮し、余裕を持って手続を検討することが重要です。
手続の内容や具体的な必要書類について不明な点がある場合は、最寄りの法務局、市区町村役場、または在外公館の専門窓口へお問い合わせください。
お問い合わせ
山本行政書士事務所 山本克徳
〒793-0001 愛媛県西条市玉津144番地11
電話番号090-6287-4466
メールアドレス yamamoto.gshoshi21456@gmail.com
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