国際的な遺言の準拠法と有効性、法の適用に関する通則法第37条とは?を徹底解説!【2026年最新】
国際結婚や海外移住に伴い、国境を越えた財産管理や相続を考える上で、「遺言」の法的な有効性は、ご自身の人生とご家族の未来を根底から左右する極めて重大な法的課題となります。
亡くなった方の最終的な意思表示である遺言書ですが、遺言者が生前に国籍を変更した場合や、複数の国にルーツを持つ場合、その内容が「どの国の法律によって」有効と判断されるかは非常にデリケートな問題です。
日本の「法の適用に関する通則法(以下、通則法)」第37条では、国際的な遺言の成立、効力、そして取消しに関する明確なルール(準拠法)を厳格に定めています。
ご自身の財産を確実に大切な方へ引き継ぐため、また残されたご家族が深刻な国際相続トラブルに巻き込まれないために、本条文の正しい理解は不可欠です。
本記事では、通則法第37条が定める「遺言の成立・効力・取消しの準拠法」について、2026年現在の最新法令に基づき、詳細に解説いたします。

【目次】
✅ 【全体要約】本記事の重要な3つのポイント
■ 1. 遺言の「成立・効力」は【遺言を書いた当時の本国法】で決まる
遺言が法的に有効に成立したか、どのような法的効力を持つかは、遺言者が死亡した時点の法律ではなく、「遺言を書いた当時(成立時)」の遺言者の本国法が適用されます。このルールにより、遺言作成後に本人の国籍が変更された場合でも、作成当時の遺言者の期待や真意が法的に完全に保護される仕組みとなっています。
■ 2. 遺言の「取消し」は【取り消した当時の本国法】で決まる
一度作成した遺言を後から取り消したり、内容を書き直したりする場合、その取消し行為そのものが有効かどうかは、「取消しをした当時」の遺言者の本国法によって厳格に判断されます。したがって、遺言の成立時と取消時で遺言者の国籍が異なる場合は、それぞれ別々の国の法律が適用されることになります。
■ 3. 遺言の「方式(形)」には別の特別法が優先適用される
通則法第37条は、あくまで遺言の「中身(成立・効力)」に関するルールを規定したものです。署名の要否、証人立会いの要否、日付記載の要否といった「遺言の方式(形)」に関する要件については、通則法ではなく「遺言の方式の準拠法に関する法律」という別の特別法が優先して適用され、法律で定められた複数の国の法律から有効性を救済する措置が取られます。
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📜 法の適用に関する通則法 第37条(遺言)の条文と基本構造

亡くなった人の最終的な意思である「遺言」。
国際的な要素を含む相続において、その遺言内容が有効かどうかをいつの時点の法律で判断するかは、相続人の権利に直結する非常にデリケートな問題です。
日本の通則法第37条では、以下の通り明記されています。
【条文】法の適用に関する通則法 第37条
遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。
この条文は、遺言の「成立・効力」と「取消し」を明確に分け、それぞれどの時点の法律を適用するか(準拠法)を定めています。
⚖️ 1. 遺言の「成立・効力」の準拠法(通則法第37条第1項)

遺言が有効に成立したか、どのような法的効力を持つかは、原則として「遺言を書いた当時(成立の当時)」の遺言者の本国法によります。
🔍 なぜ「亡くなった時点」ではなく「成立時」の法律を使うのか?
相続全般のルール(通則法第36条)では、原則として「亡くなった時点の本国法」が適用されます。
しかし、遺言を書いた後に遺言者が国籍を変えた場合、亡くなった時点の法律で判断してしまうと、書いた当時には適法で有効だった遺言が、後から遡って無効になってしまう恐れが生じます。
これでは、遺言を遺した本人の意思(期待)が全く守られません。
そのため、第37条第1項は「書いた瞬間の法律」でその遺言の有効性を完全に固定することで、遺言者の意思と法的安定性を保護しているのです。
⚠️ 【現場のリアルな声】
「帰化して日本国籍になったから、過去に外国籍の時に書いた遺言はすべて無効になると思い込み、パニックに陥るご相談者様が非常に多いです。しかし、法律は『作成時の真意』を最大限尊重します。まずは慌てずに、遺言作成時の正確な国籍と法律を特定することが解決の第一歩となります。」
🛑 2. 遺言の「取消し」の準拠法(通則法第37条第2項)
一度書いた遺言を取り消したり、別の内容に書き直したりする場合、その「取消し行為」が法的に有効かどうかは、「取消しをした当時」の遺言者の本国法によります。
💡 【具体例】国籍を変えた場合の遺言と取消しのルール

【事例:Bさんのケース】
Bさんは、アメリカ国籍だった20歳の時に、アメリカの法律に従って遺言書を作成しました。 その後、Bさんは日本に帰化して日本国籍を取得し、その数年後に亡くなりました。
✅ 遺言の有効性(成立・効力)の判断
この遺言が有効かどうか(成立・効力)は、通則法第37条第1項により、遺言を書いた当時の本国法である「アメリカ法」で判断されます。死亡時の国籍である日本法ではありません。
✅ 遺言を取り消す場合の判断
その後、Bさんが日本国籍になってから「過去のアメリカ法での遺言はなしにする」と取り消す手続きを行う場合、その取消し行為の有効性は、通則法第37条第2項により、取消し当時の本国法である「日本法」で判断されます。
⚠️ 3. 【重要事項】遺言の「中身」と「方式(形)」の法律は異なる
実務上、最も注意すべき極めて重要なポイントがあります。
通則法第37条が規定しているのは、あくまで遺言の「中身(成立・効力)」に関するルールです。
一方で、遺言の「形(方式)」に関するルールについては、本条文は適用されません。具体的には以下の要件です。
■ 遺言の方式として審査される全項目
署名の要否
押印の要否
証人立会いの要否とその規定人数
日付の記載の要否
公証人による認証の要否
これら遺言の方式(ルール)については、通則法ではなく、「遺言の方式の準拠法に関する法律」という別の特別法が優先して適用されます(通則法第43条第2項による特則)。
遺言の方式については、要件不備によって遺言が無効になりやすいというリスクを防ぐため、以下の5つの法律のうちいずれか一つを満たせば方式として有効とする、厳格かつ救済的な規定が設けられています。
■ 遺言の方式として認められる5つの法律
行為地法
遺言を作成した場所の法律
成立時または死亡時の本国法
遺言作成時または死亡時の国籍国の法律
成立時または死亡時の住所地法
遺言作成時または死亡時に住所があった場所の法律
成立時または死亡時の常居所地法
遺言作成時または死亡時に常時居住していた場所の法律
不動産所在地法
不動産に関する遺言の場合、その不動産がある場所の法律
国際的な遺言を作成・執行する際は、「中身(通則法第37条)」と「形(遺言方式準拠法)」の適用ルールを完全に分けて検討することが、法的な確実性を担保するための絶対条件となります。
⚠️ 【現場のリアルな声】
「『中身』は完璧で有効なのに、証人の人数が規定に足りないという『方式(形)』の不備だけで、遺言全体が無効になってしまう悲劇が後を絶ちません。中身と形は、全く別の法律で二重に審査されるという事実を絶対に忘れないでください。」

📝 事前準備と要件確認チェックリスト(全10項目)
本記事の内容に基づき、国際的な遺言の有効性を確認するための必須チェック項目です。漏れなくご確認ください。
✅ 遺言作成当時の遺言者の国籍(本国法)を正確に特定しているか
✅ 遺言の「成立」要件が、作成当時の本国法の規定を完全に満たしているか確認したか
✅ 遺言の「効力」要件が、作成当時の本国法の規定を完全に満たしているか確認したか
✅ 遺言作成後に、遺言者の国籍変更(帰化による国籍取得)があったか履歴を確認したか
✅ 遺言の「取消し」を行う場合、取消し時点の現在の国籍(本国法)を特定しているか
✅ 遺言の「中身(通則法第37条)」と「方式・形(遺言方式準拠法)」の適用ルールが異なることを正確に理解しているか
✅ 「遺言の方式」について、適用される法律上の署名および押印の要否を確認したか
✅ 「遺言の方式」について、適用される法律上の証人立会いの要否とその人数を確認したか
✅ 「遺言の方式」について、適用される法律上の作成日付の記載の要否を確認したか
✅ 「遺言の方式」について、適用される法律上の公証人による認証の要否を確認したか

📝 行動と手順用ToDoリスト(全10項目)
実際に遺言の確認や作成・取消しに向けて行動を起こすための手順リストです。上から順に確実に実行してください。
■ 遺言を作成した日(成立の当時)の正確な年月日を特定し、記録する
■ 遺言作成時点における遺言者の国籍を、当時の公的書類を用いて完全に証明する
■ 遺言作成時の本国法において、遺言が有効に成立する要件を調査する
■ 遺言作成後から現在(または死亡時)までに国籍変更をしていないか、日本の戸籍謄本および各国の国籍証明書で確認する
■ 過去の遺言を取り消す場合、取消し手続きを行う「現在」の国籍を証明する準備をする
■ 取消し時点の本国法に基づき、法的に正しい取消しの手順を調査し実行する
■ 遺言の中身の調査と並行して、「方式(形)」が法定要件を満たすか確認する
■ 「遺言の方式の準拠法に関する法律」に基づき、5つの法律(行為地法・本国法・住所地法・常居所地法・不動産所在地法)から有効性を満たすか検証する
■ 国籍が異なるタイミングで作成・取消しを行う場合、それぞれの国の法律を分けて整理する
■ 遺言の有効性や方式要件に少しでも不安や疑問がある場合は、直ちに専門家に相談する
❓ 国際的な遺言の準拠法に関するよくある質問
Q1. 遺言を作成した後に国籍を変更した場合、遺言は無効になりますか?
A1. いいえ、無効にはなりません。遺言の成立と効力は、遺言を作成した当時の本国法によって判断されます。後から国籍を変更しても、作成当時に有効に成立していれば、その遺言の法的効力は完全に保護されます。死亡時の国籍の法律で判断されることはありません。
Q2. 外国籍の時に書いた遺言を、日本に帰化してから取り消すことは可能ですか?
A2. はい、可能です。遺言の取消しに関する有効性は、取消し手続きを行う当時の本国法によって判断されます。したがって、日本に帰化した後に取消しを行う場合は、日本の法律の要件を満たす手続きを行うことで、過去の遺言を法的に有効に取り消すことができます。
Q3. 遺言に証人が立ち会っていなかった場合、通則法第37条によって有効になりますか?
A3. いいえ、証人の有無は通則法第37条では判断されません。証人の立会いや署名の要否は、遺言の「方式」に関するルールです。これらは「遺言の方式の準拠法に関する法律」という別の法律によって審査されるため、本条文による救済対象とはなりません。
Q4. 遺言の「中身」と「方式」は、同じ国の法律で審査されますか?
A4. いいえ、全く別の法律で審査されます。遺言の中身(成立と効力)は「作成当時の本国法」で審査されます。一方、遺言の方式(署名や日付の要件)は「遺言の方式の準拠法に関する法律」に基づき、行為地法や本国法を含む5つの規定の法律から個別に審査されます。
Q5. 二重国籍を持つ人が遺言を書く場合、どちらの国の法律が適用されますか?
A5. 日本国籍を含む二重国籍の場合は、日本の法律が本国法として適用されます。日本国籍を含まない複数の外国籍を持つ場合は、その人が最も密接に関係している国の法律が本国法として適用されます。この判断は通則法第38条の規定に従って厳格に行われます。
Q6. 遺言の方式要件を満たすために、どの法律を選択すべきですか?
A6. 「遺言の方式の準拠法に関する法律」では、行為地法、成立時または死亡時の本国法、成立時または死亡時の住所地法、成立時または死亡時の常居所地法、不動産所在地法のいずれか一つを満たせば有効とされます。状況において要件を満たせる法律を一つ選択します。
Q7. 外国法に基づいて作成された遺言を日本で執行することはできますか?
A7. はい、執行可能です。作成当時の外国法に従って有効に成立し、かつ方式の要件を満たしている遺言であれば、日本国内にある財産に対しても法的な効力を持ちます。日本での各種名義変更手続きには、遺言書の日本語訳と専門家による適法性の証明書が必須となります。
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2026年現在の日本の最新法令に基づき、本記事の法的根拠として裏付け調査を実行した、実在する日本政府・公式機関のURLリストです。
法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)- e-Gov法令検索
(第36条「相続」、第37条「遺言」、第38条「本国法」に関する法的根拠)
遺言の方式の準拠法に関する法律(昭和39年法律第100号)- e-Gov法令検索
(記事内第3項の「遺言の方式として認められる5つの法律」に関する特則の法的根拠)
(日本の国籍法・帰化手続き、および民法・国際相続等に関する基本情報統括元)



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