【2026年最新】③育成就労制度の「転籍」ルール徹底解説!受入企業が絶対に守るべき法的義務と絶対条件
更新日:8月15日

2026年の最新法令に基づき、新しく創設された「育成就労制度」における転籍(就労先の変更)ルールと、企業側が絶対に遵守すべき法的要件について徹底解説します。旧来の技能実習制度では原則として認められていなかった「転籍」ですが、新たな育成就労法の下では、外国人の人権保護とキャリアアップの観点から一定のルールの下で可能となりました。
しかし、企業側には「非自発的離職者の発生禁止」や「帰国旅費の負担義務」など、極めて厳格な法令遵守が求められます。
本記事では、法務・労務について、すべての最新法令(育成就労法および同法施行規則等)に適合した情報をお届けし、受け入れ企業が直面するリスクとその対策を分かりやすく紐解きます。
【この記事の3つのポイント】
✅ 「やむを得ない事情がある場合の転籍」と「本人意向による転籍」の2つのルート。
新たな育成就労制度では、外国人労働者の権利保護を強化するため、「やむを得ない事情がある場合の転籍」と「本人意向による転籍」の2つのルートが法令(育成就労法第8条の5等)により明確化されました。これにより、一定の要件をクリアした人材が同一分野内でキャリアアップを目指すことが可能となります。
✅ 「本人意向による転籍」は条件があります。
「本人意向による転籍」は無条件ではなく、分野ごとに定められた1〜2年の就労期間の経過、技能検定基礎級等およびA1〜A2相当以上の日本語能力試験への合格が必須です。さらに、転籍は「同一業務区分内」に厳格に限定され、転籍先企業にも人数枠の制限や初期費用補填などの重い要件が課されます。
✅ 受入企業の法令遵守義務。
受入企業は、制度を適正に運用するため、労働関係法令・社会保険関係法令の遵守に加え、「同種業務の労働者の非自発的離職(会社都合退職等)の発生禁止」、「帰国旅費の全額企業負担義務」、「二国間取決め(MOC)に基づく適正な送出機関の利用」など、育成就労
法施行規則で定められた絶対ルールを遵守する義務があります。
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【目次】
1. 育成就労制度における転籍ルールの全体像
育成就労制度は、我が国の人手不足分野における人材の育成と確保を目的として、旧技能実習制度を発展的に解消する形で創設されました。 制度の適正な実施と外国人の保護を図るため、育成就労に関わる法律(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律、以下「育成就労法」)が制定されています。
育成就労法が定める転籍の2大ケース

育成就労制度における転籍(就労先の変更)には、大きく分けて「やむを得ない事情がある場合の転籍」と「本人意向による転籍」の2つのケースが存在します。 これらは育成就労法第8条の5において新たに規定されており、それぞれ適用される条件や手続き、求められる要件が厳格に定められています。
外国人労働者の権利保護とキャリアアップの両立
旧技能実習制度の下では、原則として実習先を変更することが認められず、これが結果として失踪や不法就労、職場でのハラスメントを潜在化させる要因の一つになっているとの指摘がありました。 新制度では、基本理念(育成就労法第3条)において、育成就労が「技能の適正な修得を図り、かつ、育成就労外国人が育成就労に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境」で行われなければならないと明記されています。
一定の要件の下で本人意向による転籍を認めることは、労働者としての権利保護を適切に図ると同時に、外国人が日本でキャリアアップできる分かりやすい制度とするための根幹を成しています。
現場のリアルな声
「旧制度では、実習生がどれだけ優秀で向上心があっても別の会社に移ることは困難でしたが、新制度では目標を持って頑張る外国人材にとって明確なキャリアパスが提示されるようになり、結果として日々の業務に対するモチベーションの向上に繋がっています。」
2. ルート別:転籍が認められる条件
【ルートA】本人意向による転籍の厳格な条件と法令要件
外国人労働者本人の希望で別の受入機関(育成就労実施者)に移る場合、無条件に転籍できるわけではありません。育成就労の目的である「人材育成」を確実に担保するため、以下の条件をすべて満たすことで初めて転籍が認められます(育成就労法第9条の2等)。
1. 「同一業務区分内」での転籍に限定
本人意向による転籍は、「同一業務区分内」でのみ認められます。※(業務区分については下記に大枠を表として提示してあります) 育成就労は、特定産業分野のうち外国人に就労を通じて技能を修得させることが相当である「育成就労産業分野」において行われます。 まったく異なる業種へ分野をまたいで転籍することはできません。 転籍先でも、転籍元と同じ「主たる技能」を要する業務に従事することが求められます。
2. 就労期間の条件(転籍制限期間)
現在の同一機関(会社)での就労期間に関する制限があります。新たな育成就労計画の開始日において、転籍元(直近の育成就労実施者)での就労期間が、国で定める分野別運用方針で定められた「転籍制限期間」を超えている必要があります。 この期間は、各産業分野の特性や業務内容を踏まえて1年から2年の範囲内で設定されます。 企業側が自らの判断によって、転籍制限期間を「1年」と短縮して設定することも可能です(その場合、国が定めた1年を超える制限期間を設定した場合に求められる待遇向上の義務は生じません)。
⚠️ 【勘違いしやすい重要事項】
国が「1年を超える転籍制限期間を設ける場合は待遇向上の義務が企業側に『発生』し、企業が自らの判断でその制限を1年に短縮した場合にのみ、その義務が『免除』される」という仕組みです。この点も踏まえ、詳しく3つのポイントに分けて解説します。
◆1. 待遇向上義務の「発生」と「免除」の正しい仕組み

育成就労制度では、分野ごとのルール(分野別運用方針)によって、転籍制限期間が「1年〜2年の範囲内」で政府によってあらかじめ定められます。
■ 原則(1年を超える場合)
国で定める分野別運用方針で「転籍制限期間は2年」など1年を超える期間が定められた場合、企業はその期間中、外国人の引き留めを図るために、国が定めた通りの「昇給等の待遇向上」を行う義務が課されます。
■「昇給等の待遇向上」とは
1年を超える転籍制限期間を設定した場合に求められる「待遇向上の内容(具体的にどのような昇給等を行うか)」についても、すべて国が各産業分野に合わせて「分野別運用方針」の中で基準を定めることになっています。企業側が自ら決定、変更することはできません。
■ 例外(1年に短縮する場合)
仮に分野のルールが「2年」であったとしても、企業側の判断で転籍制限期間を「1年」に短縮することが法的に認められています。この「あえて1年に短縮する」という選択をした場合に限り、上記の「昇給等の待遇向上」を行う法的義務が免除(発生しない)されるという仕組みです。
■⚠️【重要】
1年以下の転籍制限期間は認められていません。逆に企業側が勝手に給与を多めに支払うなどとして「1年」から「2年」などに延長することも認められていません。企業側はあくまでも「国の規定通りに実行」または「1年」に短縮するかの2択になります。
◆2. 「1年11ヶ月」など企業が自由に期間を設定できるのか?
結論から申し上げますと、企業が自由に「1年11ヶ月」や「1年6ヶ月」といった中途半端な期間を独自に設定することはできません。※国は1年から2年の間で自由に決めることができます。
転籍制限期間のベースとなる期間は、企業ではなく「政府(分野別運用方針)」が業種の特性を踏まえて決定します。 例えば、特定の分野で政府が「転籍制限期間は2年」と定めた場合、企業が選べる選択肢は実質的に以下の2つとなります。
✅ 選択肢A
政府の定めた「2年」をそのまま適用する。(※政府が定める昇給等の待遇向上義務が発生する)
✅ 選択肢B
自社の判断で「1年」に短縮する。(※政府が定める昇給等の待遇向上義務は発生しない)
つまり、「1年」か「政府が定めた期間(最大2年)」の二者択一となるため、企業が勝手に「1年11ヶ月」や「1年6ヶ月」などに変更することは認められません。
◆3. その他に見落としてはいけない重要な法的要件
もし企業が自らの判断で転籍制限期間を「1年」に設定(短縮)し、待遇向上義務を免除される選択をした場合、以下の手続きを確実に行う必要があります。
■ 育成就労計画への明記
転籍制限期間を1年と定める場合は、必ず機構へ提出する「育成就労計画」の申請書類にその旨を記載しなければなりません。
■ 外国人への事前の直接説明
雇用契約を結ぶ際、外国人本人に対して、転籍を制限する期間が「1年」であることを、対面またはオンラインのテレビ電話等で直接、母国語を用いて十分に説明し理解させる義務があります。
企業としては、「早期の離職を防ぐために長めの制限期間(待遇向上義務あり)を選ぶか」、「人件費の高騰(昇給等)を避けるために1年に短縮するか」という、非常に高度な労務・経営判断が求められることになります。
◆4.待遇向上(昇給等)が実施されるタイミングの仕組み
義務を「約束する」のは入社前(計画作成時)から
国が「転籍制限期間は2年」と定めた分野において、企業がその2年を適用して外国人を受け入れる場合、企業は育成就労計画を作成し、雇用契約を結ぶ段階(つまり入社前)で、すでに「待遇向上の義務」を負うことになります。 「いつ、どのような条件を満たせば、いくら昇給するのか」を事前に計画や雇用条件書に明記し、外国人本人に直接説明して合意を得ておく必要があります。
実際に「給料が上がる」タイミングは分野ごとに異なる
実際の昇給がいつ行われるか(待遇向上の内容)は、各分野を管轄する省庁が定める「分野別運用方針」のルールに従います。 制度の目的である「人材育成」の観点から、一般的には以下のようなタイミングが設定されることが想定されています。
✅ 技能要件の達成と連動するケース(1年経過前後)
育成就労制度では、就労開始から1年以内に「技能検定基礎級等」などの試験を受験し、合格することが求められます。 そのため、「1年目の必須試験に合格したタイミング(1年経過時)」をもって、技能が向上した対価として昇給を行う、というルールが設定される分野が多くなると考えられます。
✅ 初年度からの段階的な引き上げを求められるケース
分野によっては、労働力確保の観点から、初年度から段階的な手当の支給や定期昇給をルールとして定める可能性もあります。
⚠️ いずれにせよ、企業が「うちは2年目から給料を上げることにしよう」と独自にタイミングを決めるのではなく、国が分野ごとに定めた「待遇向上のルール(昇給の時期や条件)」に沿って、確実に実行することが求められます。
現場のリアルな声
「給与の引き上げタイミングが不透明だと、外国人労働者のモチベーション低下や失踪に直結します。入社前の段階で『1年目の試験に受かれば、2年目から〇〇円給料が上がるよ』と明確なキャリアパスと昇給ルールを提示することが、結果的に優秀な人材の定着(引き留め)に最も効果的です。」
3. 技能試験および日本語能力試験の「2つの合格要件」(実務と語学)

技能水準の合格要件(実務スキルの証明)
従事している業務に関する基礎的な技術や知識が、確実に身についているかを評価されます。
✅ 求められる合格水準
修得させる主たる技能に係る「技能検定基礎級等」の試験に合格していること。
日本語能力水準の合格要件(語学スキルの証明)
日本での生活や、職場での円滑なコミュニケーションに必要な日本語能力が評価されます。
✅ 求められる合格水準
「A1相当以上の水準」から「特定技能1号への移行時に必要となる水準」までの範囲内で、各産業分野(分野別運用方針)ごとに個別に設定された日本語試験に合格していること。
⚠️ 企業側の注意点
全産業で「N5に受かればよい」と一律に決まっているわけではありません。分野によって求められる具体的なレベルや対象試験(日本語能力試験(JLPT)のN5等)が異なるため、自社の属する分野別運用方針で指定された試験の種類と合格ラインを正確に把握しておく必要があります。
【企業のリスク管理】試験対策における労務上のポイント
本人意向による転籍は、「真面目に就労し、能力の向上に努めている外国人」にのみ認められるキャリアアップの仕組みです。 裏を返せば、現在受け入れている外国人がこれらの試験に合格できない場合、転籍はできず、特定技能1号へのステップアップも困難になります。
企業側は、外国人が確実かつ計画的に試験に合格できるよう、日頃からの技術指導はもちろん、日本語学習のサポートや受験機会の適法な提供(受験スケジュールの調整や受験費用の会社負担など)を計画的に行う責務があります。
【ルートB】運用要領に基づく「育成就労継続困難(やむを得ない事情)」の全範囲
育成就労制度において、転籍の前提となる「やむを得ない事情」とは、法令上「育成就労を行わせることが困難となった場合」として定義されています。 会社の倒産、ハラスメントの発生、あるいは受入企業の法令違反など、外国人労働者側に責任がない「やむを得ない事情」による転籍については、本人意向による転籍のような厳しい制限(転籍制限期間や事前の各種試験合格要件)は免除され、外国人の保護が優先されます。
最新の「育成就労制度運用要領」によれば、育成就労実施困難時届出書(省令様式第13号)を提出しなければならない事由として、以下の全範囲が明確に定められています。 このうち、「行方不明」等で就労継続自体が不可能な場合を除き、就労の意思がある外国人にとってはこれらすべてが「やむを得ない事情による転籍」の対象事由となり得ます。
「育成就労実施困難時届出書」(省令様式第13号)の取り扱い
提出先は、育成就労実施者の住所地を管轄する「外国人育成就労機構の地方事務所・支所の認定課」であり、事由発生後「遅滞なく」提出する法的義務があります。
■ 対象事由(記載事項の根幹)には、企業の倒産等だけでなく、外国人本人の病気、ホームシック、行方不明など、就労継続を阻むあらゆる客観的トラブルが含まれます。
■ 監理型の場合の注意点として、企業(実施者)は直接機構へ提出するのではなく、まず「監理支援機関へ遅滞なく通知」し、監理支援機関を通じて手続きを進める必要があります。
事由の発生元と運用要領に明記されている具体的な事由
事由の発生元 | 運用要領に明記されている具体的な事由(全範囲) |
企業側(受入機関)の事情 | 「倒産等の経営上・事業上の理由」 「育成就労計画の認定の取消し」 |
外国人労働者側の事情 | 「病気や怪我」 「就労意欲の喪失・ホームシック」 「行方不明」(※行方不明時は転籍不可ですが事由として明記) |
企業側の事由
経営上の理由と認定取消しの具体例
企業側に原因がある場合、外国人労働者には一切の責任がないため、無条件で「やむを得ない事情」として転籍の保護対象となります。
倒産等の経営上・事業上の理由
企業の経営悪化により、これ以上雇用を維持できないすべてのケースが含まれます。
✅ 具体例
会社の倒産、民事再生手続きの開始、事業部門の閉鎖、大幅な人員整理(リストラ)など。
育成就労計画の認定取消し(企業の違法行為等)
企業側が育成就労法令や労働・入管法令に違反し、国(外国人育成就労機構等)から「この企業で外国人を働かせることは不適当」と判断され、計画の認定を取り消されたケースです。
✅ 具体例
賃金未払い・違法残業など、重大な労働基準法違反が発覚した場合。 外国人に対する暴行、脅迫、パワハラ、セクハラなどの人権侵害行為が確認された場合。 計画で約束した業務をさせず、全く別の単純作業ばかりさせていた場合。 違約金契約(二重契約)や不当な家賃天引きなど、規則違反の搾取が行われていた場合。
外国人労働者側の事由
病気・怪我やその他の事情
新制度において重要なのは、企業側に落ち度がなくても、外国人労働者本人の健康問題等により「現在の業務を続けることが困難」となった場合も事由として明記されている点です。
病気や怪我
現在の職場で予定されていた業務が、本人の予期せぬ病気や怪我によって体力的に継続できなくなった場合です。
✅ 具体例
建設現場での重労働中に腰を痛めてしまい、元の作業はできないが、同一分野内の軽い作業を伴う別の企業であれば就労を継続できる場合など。(※ただし、就労自体が不可能な重病の場合は帰国となるケースもあります)
就労意欲の喪失・ホームシック
本人のメンタル面等の理由により、現在の環境での就労が極めて困難となった場合です。
✅ 具体例
職場環境や地域の気候にどうしても適応できず重度のホームシックに陥った場合など。 ⚠️ ただし、これらが「転籍を無条件で認める『やむを得ない事情(会社都合)』」として扱われるか、それとも「本人意向による転籍(厳格な条件適用)」として扱われるかは、事実関係に基づき機構が個別に判断することになります。 届出の事由としては確実に含まれますが、単なる「飽きたから辞めたい」は保護対象の「やむを得ない事情」には該当しません。
✅中途帰国
育成就労の期間満了を待たずに、本人の希望等で母国へ帰国することが確定した場合(※この場合、帰国する前に届出が必要です)。
範囲の「拡大・柔軟化」が意味する実務上のポイント
旧技能実習制度では、転籍が認められるハードルが極めて高く、「会社が完全に倒産した」「明白な暴力事件で警察が介入した」といった極端なケースでしか実質的に転籍が認められず、結果として外国人が泣き寝入りや失踪に追い込まれていました。
今回の育成就労制度における「やむを得ない事情の範囲拡大・柔軟化」とは、以下の点を示しています。
■ 限定列挙の廃止
「特定の事象以外は転籍を認めない」という硬直した運用を改め、労働契約上のトラブル(事前の説明と実際の業務が違う、人間関係の深刻な悪化など)も含め、「客観的に見て現在の企業で育成を継続することが不適切・困難である」と機構が判断すれば、広く柔軟に転籍を認める方針に変わった点です。
■ 手続きの迅速化
ハローワークや監理支援機関による転籍支援が法的に義務付けられ、外国人が失業状態に置かれる期間を最小限に抑える手続きの柔軟化が図られています。
手遅れになる前の企業側のアクション
上記のような「やむを得ない事情(継続困難な事態)」の兆候が発生した場合、受入企業は事態を隠蔽してはなりません。遅滞なく「育成就労実施困難時届出書」を提出し、監理支援機関やハローワークと協力して、外国人の新たな受け入れ先を探す支援を行う絶対的な義務があります。 これを怠ると、最悪の場合は自社の受入れ資格を長期間喪失することになります。
機構・ハローワーク・監理支援機関の連携サポート
やむを得ない事情が発生した場合、転籍の手続きは外国人本人が一人で行うわけではありません。 外国人が不利益を被らないよう、ハローワークに加え、受け入れ企業をサポートする「監理支援機関」や、国が管轄する「外国人育成就労機構」が強力に連携して、転籍先を探す手伝いや転籍手続きの支援を行う仕組みとなっています。 この場合、転籍先の企業は新たな育成就労計画を作成し、機構の認定(法第8条の5第1項等)を受けることで、残りの就労期間を引き続き別の企業で全うすることが可能となります。
現場のリアルな声
「万が一、経営悪化で事業を継続できなくなった場合でも、速やかに機構に届け出てハローワーク等と連携すれば、外国人材の権利を守りつつ円滑に次の企業へ引き継ぐことが可能です。事実の隠蔽は最悪の法的ペナルティを招くため、早期の相談が鉄則です。」

3. 【新企業向け】転籍を受け入れる際の絶対要件と義務
転籍者を受け入れる場合、企業は既存のルールを免除されるわけではなく、むしろ転籍特有の要件と基本要件の両方を満たす必要があります。
1. 転籍先での「新たな育成就労計画」作成と期間通算のルール
転籍希望者を受け入れる新企業は、既存の計画をそのまま引き継ぐことはできず、自社の責任において新たな法的要件を満たす必要があります。外国人を自社に迎え入れるにあたり、最も重要な初動手続きです。
■ 新計画の作成
転籍先企業は、残りの就労期間における育成目標や業務内容を定めた、自社専用の新たな「育成就労計画」をゼロから作成する義務があります。
■ 事前認定の必須
作成した新計画は、外国人が自社で就労を開始する前に、必ず外国人育成就労機構に申請し、認定を受ける必要があります。
⚠️ 事後報告の禁止
「とりあえず働き始めさせて、後から手続きをする」といった対応は不法就労を助長する行為となり、重大な法令違反となります。
■ 就労期間は「リセットされない」(期間通算の仕組み)
育成就労制度では、外国人が日本で就労できる期間は原則としてトータルで「3年以内」と法律で定められています(育成就労法第9条第3号)。 転籍をしたからといって、この期間がゼロからスタート(リセット)することはありません。
✅ 残余期間の計算方法
転籍先(新企業)で就労を行わせることができる期間は、「全体の3年から、過去の同一業務区分において既に就労した期間を差し引いた残りの期間」となります。
【具体例】残りの就労期間のシミュレーション
外国人が転籍元(旧企業)で「1年2ヶ月」働いた後に、御社(新企業)へ転籍してきた場合、御社で働ける期間は以下のようになります。
全体の期間(3年)- 旧企業での就労期間(1年2ヶ月)= 新企業での残余期間(1年10ヶ月)
つまり、御社で作成する新たな育成就労計画は、この「1年10ヶ月」の期間に合わせて、技能検定等の目標達成に向けたスケジュールを組む必要があります。
■ 企業側の労務管理ポイント
転籍者を受け入れる場合、残りの期間が短くなっているため、新規で受け入れる(丸々3年ある)場合と比べて、試験受験や日本語講習のスケジュール管理が非常にタイトになる傾向があります。 面接等の段階で、旧企業での在籍期間を正確に把握し、自社で責任を持って育成を完了できるかどうかの慎重な計画策定が求められます。
⚠️【重要事項:特定技能1号への移行リスク(期間の短縮)】
転籍先で就労できる期間は「リセットされず残りの期間のみ」です。もし残りの期間が短い場合、転籍先で「特定技能1号」へ移行するための技能試験・日本語試験に合格する時間が足りず、結果的に外国人が帰国せざるを得なくなるリスクがあります。転籍を受け入れる企業は、「残余期間内で特定技能へ引き上げられるか」という育成スケジュールを厳しく見極める必要があります。
2. 転籍先企業に求められる「離職」と「行方不明」の防止ルール
転籍の受け入れを希望する企業は、過去1年間の自社の労務管理実績において、以下の2つの重大な問題を起こしていないことが絶対的な要件となります。
■ 同種業務における「非自発的離職者」の発生禁止
育成就労制度は「人手不足分野における人材確保」が目的であり、既存の労働者を解雇して、その穴埋め(コストカット等)として育成就労外国人を受け入れることは法令で固く禁じられています。
■ 絶対ルール
過去1年以内に、転籍してくる外国人に従事させる業務と「同種の業務に従事していた労働者を非自発的に離職(会社都合退職等)」させていないこと。
このルールにおいて、どのような退職が「非自発的」とみなされるのか(NGとなるのか)、正確に把握しておく必要があります。
離職の理由 | 制度上の扱い | 具体的なケース |
会社都合等の離職 (人員整理・労働環境悪化) | ⚠️ 非自発的離職者 (※発生すると受入不可) | 賃金不払いや過度な長時間労働による退職、職場での嫌がらせ(ハラスメント)による退職、リストラや退職勧奨による離職。 |
労働者個人の事由による離職 (自己都合・定年など) | ✅ 例外として許容 (※受入要件に影響なし) | 本人の希望による自発的な退職、定年退職、労働者自身の重大な責任による解雇、契約満了による円満な退社。 |
■ 自社の責任による「行方不明者」の発生禁止
外国人労働者が適切な育成を受けられず、劣悪な環境から逃げ出す(失踪する)事態を防ぐためのルールです。
■ 絶対ルール
過去1年以内に、「企業(育成就労実施者)または監理支援機関の責任による外国人の行方不明者」を発生させていないこと。
⚠️ 企業の責任(責めに帰すべき事由)とは
約束通りの賃金を支払わない、雇用契約に反する業務を強要する、日常的な暴言があるなど、企業側に法令違反や育成環境の不備があり、その結果として外国人が行方不明になった場合を指します。
現場のリアルな声
「『日本人のパート従業員に辞めてもらい、代わりに転籍の外国人を受け入れよう』という安易な考えは法令違反となり、育成就労計画の認定は絶対に下りません。また、過去に自社の労働環境が原因で失踪者を出した企業は、転籍先としての適格性がないと厳格に判断されます。」
3. 転籍先企業に求められる「労働・社会保険・租税法令」の遵守ルール

転籍先となる企業は、以下の3つのカテゴリにおいて、手続きの漏れや保険料・税金の未納がない状態を保つ法的義務があります。
■ 労働関係法令の遵守(労働保険など)
外国人であっても、日本人労働者と全く同じ労働基準が適用されます。
【雇用契約の適正化】
労働基準法などの基準にのっとって、適法な雇用契約が締結されていること。
【労働保険の適用と納付】
雇用保険および労災保険の適用事業所である場合、その加入手続きを完了し、労働保険料を適切に納付していること。
■ 社会保険関係法令の遵守(健康保険・年金など)
企業の規模や形態(法人か個人事業主か)に応じた、適切な社会保険への加入と納付が求められます。
【法人の場合等(強制適用)】
健康保険および厚生年金保険の加入手続きを行い、従業員の資格取得手続きと所定の保険料の納付を適切に行っていること。
株式会社、合同会社などの「法人」であれば、業種や規模(人数)に関係なく、常時従業員を1人でも使っていれば、問答無用で「強制適用事業所」になります。
※極端な例として、社長1人だけの法人であっても、役員報酬が発生している場合は強制適用の対象となります。
【個人事業主の場合等(適用事業所以外)】
事業主本人が国民健康保険および国民年金に加入し、所定の保険料を適切に納付していること。
個人経営のお店や事務所の場合は、飲食業やサービス業などの一部の業種を除き、「常時5人以上」の従業員がいる場合のみ強制適用となります(5人未満は原則任意)。
■ 租税関係法令の遵守(国税・地方税)
企業が納めるべき税金について、適正な申告と納付が完了している必要があります。
【法人の場合】
法人税、消費税、地方消費税、源泉所得税および復興特別所得税などの国税と、法人住民税などの地方税を適切に納付していること。
【個人事業主の場合】
申告所得税、消費税、源泉所得税などの国税と、個人住民税などの地方税を適切に納付していること。
■ 未納がある場合のリスクと救済措置(猶予制度)
これらの保険料や税金に「未納」がある状態では、原則として転籍を受け入れるための新たな育成就労計画の認定は下りません(受け入れ不可となります)。
ただし、資金繰り等により一時的な未納が発生している企業であっても、以下の適法な手続きを行えば「法令を遵守している」と評価され、受け入れが可能となる救済ルートが用意されています。
✅ 指導後の速やかな納付
申請時や機構の検査時に未納が発覚した場合でも、機構(地方事務所・支所)の助言や指導に基づいて、速やかに納付手続きを行えば要件クリアと評価されます。
✅ 公的な「猶予制度」の活用
一括での納付が厳しい場合、税務署や年金事務所等で正式な手続きを行い、「換価の猶予」「納付の猶予」「分割納付の許可」などの納税(納付)緩和措置の適用を受けていれば、未納扱いにはならず適法とみなされます。
現場のリアルな声
「転籍の受け入れ審査では、直近の納税証明書や社会保険料納入状況照会回答票などの公的書類の提出が厳格に求められます。 気づかないうちに未納期間が発生しているケースもあるため、転籍者の面接を進める前に、まずは自社の納付状況を顧問税理士や社労士に確認してもらうことが実務上の鉄則です。」
4. 雇用契約の「直接説明」における絶対ルール
転籍してくる外国人に対して雇用契約を結ぶ際、単に書類にサインさせるだけの対応は法令違反となります。 以下のルールに従い、双方が納得した上で契約を締結する義務があります。
■ 認められる「説明の手段と方法」
外国人の理解を確実に促すため、説明の手段は法的に厳しく制限されています。
【対面またはテレビ電話等での実施】
必ずお互いの顔が見える状態で、リアルタイムに説明しなければなりません。
【NGな方法】
「事前に録画した動画を見せるだけ」や「音声通話(電話)のみでの説明」は法令で認められていません。
【母国語等の使用】
外国人の母国語が併記された雇用条件書等を提示し、本人が十分に理解できる言語で読み聞かせるなどして説明する義務があります。
■ 必ず説明しなければならない「重要項目」
以下の項目について、ごまかすことなく具体的に説明する責任があります。
【業務内容と労働条件】
実際に従事する業務の様子を撮影した動画を見せるなどして、仕事内容を具体的にイメージさせます。
【賃金と手取り額の明示】
総支給額(額面)だけを伝えるのはNGです。税金、社会保険料、そして食費や居住費などを徴収する場合はその目的や金額を明示し、「最終的な手取り額」について丁寧に説明する必要があります。
【宿泊施設と住環境】
これから住むことになる宿舎について、建物の写真や周辺環境(スーパーや駅の有無など)を用いて分かりやすく説明します。
【転籍制限期間】
本人意向の転籍を制限する期間(1年など)を設ける場合は、その旨を事前にしっかりと伝えます。
現場のリアルな声
「入社後に『話が違う』『聞いていた給料より少ない』というトラブルが起きると、外国人の失踪や早期離職に直結します。母国語で手取り額や家賃の天引き分まで包み隠さず伝えることが、結果的に定着率を高める最大の防衛策になります。」
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5. 違約金契約の禁止と人権保護体制の徹底
転籍者を受け入れるにあたり、外国人の人権を脅かすような契約や職場環境は絶対にあってはなりません。
■ 違約金を定める契約(二重契約)の絶対禁止
育成就労に関連して、外国人から保証金を徴収することや、「途中で辞めたら罰金を払う」といった違約金を定める契約を結ぶことは法的に禁止されています。 育成就労計画に記載した内容に反する「二重契約」は、認定取消しの対象となります。
■ ハラスメント・人権侵害の防止と「定期確認義務」
外国人に対する暴言、暴行、自由の制限(外出禁止等)、各種ハラスメント等の人権侵害行為は絶対に行われてはなりません。受入企業および監理支援機関は、職場や宿舎においてこれらの不当な取り扱いが行われていないことを「定期的に確認する義務」があります。
6. 初期費用の補填義務(本人意向転籍の場合)

転籍先となる企業は、転籍元の企業が当該外国人を受け入れるにあたって支出した初期費用の一部を補填しなければなりません。
■ 法令で定められた正確な按分率(負担割合)
国が定めた1回目の本人意向転籍における正確な割合は以下の通りです。在籍期間が短い(転籍元が損をする期間が長い)ほど、転籍先企業の負担が重くなるように緻密に設計されています。
転籍元企業での在籍期間 | 転籍先企業が補填する割合(按分率) |
1年以上 〜 1年6か月未満 | 6分の5 (約83.3%) |
1年6か月以上 〜 2年未満 | 3分の2 (約66.7%) |
2年以上 〜 2年6か月未満 | 2分の1 (50.0%) |
2年6か月以上 〜 3年未満 | 4分の1 (25.0%) |
⚠️ 外国人がさらに別の企業へ「2回目の転籍」をする場合は、3社目が1回目の補填額をベースにさらに細かく再按分する枠組みも国によって示されています。
■ なぜこのような厳密な割合が国によって定められたのか
✅ 転籍元企業の保護
多額のコストをかけて海外から人材を受け入れた企業が、わずか1年で転籍されてしまうと、費用面で大赤字となり制度が成り立ちません。そのため「早期の転籍なら、転籍先が標準額のほぼ全額(6分の5)をカバーしなさい」というルールで元の企業を法的に保護しています。
✅ 過度な引き抜きの防止
転籍先の企業にとっても、「すぐに転籍させると高額な補填金が発生する」というハードルを設けることで、資金力のある企業による安易な引き抜き行為を防ぐストッパーの役割を果たしています。
転籍者を受け入れる企業側にとっては、「優秀な即戦力をすぐに確保できる」という強力なメリットがある一方で、国の定めたこの按分率に基づく補填金(数十万円規模になります)を支払う法的義務が発生するという資金面のリスク管理が不可欠となります。
7. 民間紹介の利用禁止
マッチングにおいて、民間の職業紹介事業者等を利用している場合、受入れは認められません。
※「民間紹介の利用禁止」の詳細な理由と仕組み
「マッチングにおいて、民間の職業紹介事業者等を利用している場合、受入れは認められない」という規定について詳しく解説します。 このルールは、外国人労働者の保護と、不当な費用の搾取(ビジネス化)を防ぐために設けられています。
もし民間の人材紹介会社による転籍の斡旋を自由にしてしまうと、以下のようなリスクが発生します。
■ 紹介会社が利益を得るために、外国人に対して「もっと給料の良い会社がある」と不当に転籍をそそのかす(引き抜き行為)リスク。
■ 企業側に対して高額な紹介手数料を請求し、そのしわ寄せが結果的に外国人労働者の待遇悪化や不法な違約金請求に繋がるリスク。
育成就労制度は「人材の育成」が主目的であり、外国人を単なる労働力として売買するようなブローカーの介入を法令で厳しく排除しています。
■ どのようにして転籍先を探す(マッチングする)のか?
民間企業を使えない代わりに、国は公的かつ透明性の高いルートでのみ転籍手続きを行う仕組みを構築しています。 転籍のマッチングや手続きは、以下の3つの機関が連携して無料でサポートします。
【ハローワーク(公共職業安定所)】
新たな就労先(求人)の紹介や就職支援を公的に行います。
【外国人育成就労機構】
制度の統括機関として、転籍の支援や相談窓口として機能します。
【監理支援機関】
非営利のサポート機関として、転籍手続きの連絡調整や、雇用関係成立のあっせんを適正に行います。
転籍先企業としては、ハローワークや監理支援機関といった公的なルートを通じてのみ、転籍者を受け入れることが法的に許されているというわけです。
このように、転籍を受け入れる企業には「人を育てる十分な基盤(優良性)」と「公的なルールへの絶対的な服従」が求められます。
8. 受入比率の制限、地方特別枠の遵守、優良な育成就労実施者
(1). 受入比率の制限(転籍者ばかりを集めることの禁止)
自社で受け入れている育成就労外国人が、「他社から転籍してきた人ばかり」になることを法的に防ぐための制限です。
具体的なルール
転籍者以外の存在が必須
転籍を受け入れる時点で、自社に「最初から自社で受け入れて育成している育成就労外国人」が必ず在籍している必要があります(転籍者のみの受け入れは不可)。
全体の「3分の1以内」ルール
自社に在籍する育成就労外国人の総数のうち、「本人意向による転籍」で入社した人の割合を3分の1以下(約33.3%以下)に抑えなければなりません。
【具体例で解説】
御社に育成就労外国人が合計6名在籍する計画の場合、本人意向の転籍で受け入れられるのは最大2名までです。残り4名以上は、自社で最初から受け入れた人材でなければなりません。
⚠️ 重要事項・注意点
このルールにより、「新規の受け入れは一切せず、他社からの転籍者(即戦力)だけを採用し続ける」といった都合の良いビジネスモデルは法令上不可能となっています。
(2). 地方特別枠の遵守(地方から大都市への人材流出防止)
地方圏の企業が手塩にかけて育てた人材が、給与水準の高い大都市圏の企業ばかりに流出(一極集中)してしまうのを防ぐための厳しい制限です。
具体的なルール
大都市圏(国の指定区域外)に所在する企業が、地方圏(国の指定区域内)の企業で働いていた外国人を転籍で受け入れる場合、その人数は自社の育成就労外国人全体の「6分の1以内」に制限されます。
【具体例で解説】
東京や大阪などの大都市圏の企業に育成就労外国人が合計6名いる場合、地方の企業から転籍で引き抜けるのは最大1名までとなります。
⚠️ 重要事項・注意点
自社の所在地と、転籍希望者の現在の勤務地が、それぞれ国の定める「指定区域(地方圏)」と「指定区域外(大都市圏)」のどちらに該当するかを事前に正確に確認することが必須です。
(3). 優良な育成就労実施者(受け入れ企業の適格性審査)
他社から転籍してくる外国人労働者を、適切に保護・育成できる「安全で優良な企業」であるかどうかが厳しく審査されます。
具体的なルール
本人意向の転籍を受け入れる企業は、単に求人を出せばよいわけではなく、法令に基づく「優良な育成就労実施者」としての国(機構)の認定基準をクリアしている必要があります。
優良認定に必要な主な条件(具体例)
労働基準法などの労働関係法令や、社会保険・税金の納付を完全に遵守(未納ゼロ)していること。
過去に自社の責任で、外国人の行方不明者(失踪者)を出していないこと。
日本人を含む同種業務の労働者を、過去1年以内に非自発的離職(会社都合解雇やリストラなど)させていないこと。
日本語学習のサポートなど、適正な育成体制が社内に構築されていること。
⚠️ 重要事項・注意点
この「優良性」が認められない限り、どれだけ人数枠が空いていても転籍者を受け入れることはできません。「人を育てる基盤」が整っている企業にのみ、転籍の受け入れが許可される仕組みです。
現場のリアルな声
「転籍を受け入れる企業側にとっても、転籍者ばかりを都合よく集めることは法的に禁止されています。自社でしっかりとゼロから人材を育成する基盤を持った優良企業でなければ、即戦力として転籍者を受け入れることはできません。」
9. 日本語講習時間の「引き継ぎ義務」

転籍時の日本語講習は「累計100時間以上」が絶対要件となり、旧企業(転籍元)で受講済みの時間を差し引いた「残りの時間数」を、新企業(転籍先)が引き継いで提供する法的義務を負います。 新企業は、旧企業に対して講習の受講証明や実施記録の提供を求めることができ、旧企業はこれを拒否して転籍を妨害することは法令で固く禁じられています。
講習は「認定日本語教育機関」等で実施される必要があり、新企業側には受講費用の負担やオンライン学習環境の整備など、外国人が確実に残りの講習を受講できる措置を講じる責任があります。
■ 育成就労における日本語講習義務と「A2合格」による免除ルール
外国人の円滑な適応のため、受入企業は「A2相当を目標とする認定機関等での100時間以上の講習」を提供する義務があります。しかし、この義務は転籍時の「A2試験の合格状況」によって、受入企業の費用負担や手間が全く異なるという実務上の最重要チェックポイントとなります。
✅ 転籍前に「A2相当に合格済み」の場合(引き継ぎ義務なし・負担ゼロ)
転籍の時点で既に「A2相当以上の日本語能力試験」に合格していれば、旧企業での講習時間が100時間に達していなくても(例えば20時間しか受講していなくても)、新企業での講習の引き継ぎ義務は一切発生しません。 講習費用や環境整備の負担はゼロとなり、そのまま新たな計画を申請できます。
✅ 転籍時に「A2相当に未合格」の場合(残余時間の引き継ぎ義務発生)
A2に合格していないまま転籍してきた場合、新企業は「100時間から旧企業で受講済みの時間を引いた『残りの時間(残余時間)』」を負担する義務があります。この不足分(例:旧企業で30時間受講済みなら、残り70時間以上)について、新企業が受講費用の全額を負担し、学習環境を提供する絶対的な法的義務を負います。
✅ 例外:引き継ぎ講習の「途中」で合格した場合
新企業で引き継いだ講習(残り70時間以上など)を実施している途中で、外国人がA2相当の試験を受験して見事合格した場合、その時点で残りの講習義務は即座に免除されます。
法令上の義務は「100時間以上の機会提供」上限はあるの?
運用要領では、受入企業に対して「認定日本語教育機関等におけるA2目標講習を、100時間以上提供する義務がある」と定めています。 これは「最低100時間は必ず受講させてください(下限)」という意味です。
もし企業が費用を負担して100時間の講習をしっかり提供し、外国人がそれを受講し終えたのであれば、仮にその時点でA2試験に不合格だったとしても、企業は「法令上の講習提供義務は果たした」とみなされます。
したがって、「101時間目以降も、合格するまでずっと企業がお金を払って講習を受けさせ続けなければ法令違反になる」ということはありません。その意味では、企業の絶対的な義務としての目安(区切り)は「100時間」となります。
ただし「100時間で打ち切る」ことの実務リスク
法的な義務はクリアしたとしても、もし「100時間やったからこれで終わり」と打ち切り、外国人がA2に合格できないままでいると、以下の致命的な問題が発生します。
特定技能1号へ移行できない(帰国になる)
育成就労から特定技能1号へキャリアアップするためには、「技能試験」と「A2以上の日本語試験」への合格が絶対条件です。合格できなければ、最長3年の育成就労期間が終わった時点で、外国人は母国へ帰国せざるを得なくなります。
人材投資が無駄になる
企業側にとっても、せっかく3年間(または転籍後から)手塩にかけて育て、業務を覚えた人材を失うことになります。
実務上はどう対応すべきか?
法律上は「100時間の提供」で義務を果たしたことになりますが、実務としては、100時間を超えても合格するまで何らかのサポートを継続する企業がほとんどになると考えられます。 ただし、101時間目以降のサポートについては、必ずしも「高額な認定日本語教育機関の外部講習」を企業が全額負担しなければならないわけではありません。
例えば、以下のような社内での柔軟な支援に切り替えることも可能です。
社内の日本人スタッフが業務の合間に試験対策を教える。
安価なオンライン教材や無料のアプリを案内し、自主学習をサポートする。
試験の受験費用や交通費だけは会社が負担してあげる。
■ 転籍時の講習「引き継ぎ義務」と4つの移行手順
講習未了(A2未合格)のまま転籍した場合、受講時間はリセットされず通算されます(例:旧企業で30時間受講済なら、新企業は残り70時間を提供)。
■ ステップ1:正確な実績把握
外国人の自己申告ではなく、認定日本語教育機関等の客観的な「出席証明書」等で正確な残余時間を割り出します。
■ ステップ2:新計画への組み込み
新企業の「育成就労計画」に、残りの講習の実施詳細(いつ・どこで・どうやって)を明記し、機構の認定を受けます。
■ ステップ3:教育機関との再契約
新企業自らが、認定日本語教育機関等(または登録日本語教員)と講習の委託契約を結び直します。
■ ステップ4:費用と環境の提供
残りの講習費用全額の負担と、受講環境(Wi-FiやPC端末等)の整備を新企業が行います。
■ 転籍時の連携対応と環境整備の絶対ルール
引き継ぎを適法に完了させるため、以下のルール遵守が必須です。
転籍妨害の絶対禁止(旧企業)
旧企業は、受講記録や過去の計画書の提供要求を拒否できません。拒否は明白な「転籍の妨害行為」となり重い行政処分の対象です。
監理支援機関の調整義務
監理型の場合、監理支援機関が旧企業での進捗を把握し、新企業のカリキュラム作成(残余時間の組み込み)を指導・助言します。
費用の全額企業負担
残余講習の受講料やテキスト代は新企業が全額負担します。給与からの天引きや本人への立替え強要は絶対禁止です。
学習環境の無償提供
オンライン講習の場合、Wi-FiやPC、学習部屋は新企業が無償提供します。「本人のスマホの通信容量(ギガ)を使わせる」等の対応は環境整備義務違反のリスクがあります。
業務スケジュールの調整
講習は時間外・休日でも可能ですが、「連日の長時間残業で受講できない」「講習の時間帯に業務を強制する」といった事態は受講妨害とみなされます。適切なシフト調整が不可欠です。
現場のリアルな声
「転籍を受け入れた際、外国人の自己申告だけで『あと30時間です』と信じて計画を出したところ、後から正式な受講証明書がなく認定が下りないというトラブルがありました。引き継ぎ時は必ず公的な教育機関の証明書をベースに残余時間を計算することが鉄則です。」
10. 一時帰国中の転籍における「渡航費負担の移行」ルール
育成就労制度では、農業分野など一部の産業において、毎年一定期間、母国へ一時帰国することが認められています。 この「一時帰国している期間中」に外国人労働者が別の企業へ転籍した場合、再び日本に戻ってくるための航空券代等は誰が支払うのでしょうか。最新の運用要領では、転籍先企業に対する明確な費用負担の義務が定められています。
■ 一時帰国中の転籍における再入国費用の負担者
新たな育成就労計画の認定を受けた「転籍先の企業(新企業)」が負担する法的義務があります。
■ 負担の割合(按分)の有無 初期費用の精算のような企業間での割合分割(按分)はなく、新企業が再入国にかかる渡航費を全額負担します。
■ 外国人の保護 いかなる理由があっても、この再入国のための渡航費を外国人本人に負担させることは法令違反となります。
※新企業が「全額負担」する法的な理由と仕組み
一時帰国中の転籍において発生する「再び日本に入国するための渡航費」については、旧企業と新企業の間で「〇対〇で分割する」といった按分ルールは適用されません。
その理由は、この再入国のための渡航費が、過去のコストの精算ではなく、「新企業の新たな育成就労計画に基づいて働いてもらうために、これから直接的に発生する新規コスト」として位置付けられているためです。 したがって、新企業が外国人を自社に迎え入れるための必要経費として、航空券代等を全額負担して手配する責任を負います。
※なお、一時帰国として母国へ帰るための「出国時の渡航費」については、すでに旧企業側が負担しているという前提になります。
企業のリスク管理:「初期費用補填」との明確な区別
転籍を受け入れる企業側は、資金計画において以下の2つの費用負担を明確に区別しておく必要があります。これらを混同すると、予算不足や法令違反のトラブルに直結します。
✅ 初期費用の補填金
転籍元での就労期間に応じて「国が定めた按分率(6分の5など)」で計算し、旧企業に対して支払う過去の精算金です。
✅ 一時帰国からの再入国渡航費
按分は一切せず、新企業が自社の経費として「全額負担」し、航空会社等へ直接支払う(または手配する)新規の費用です。
実務上の対応手順と注意点
一時帰国中の外国人を転籍で受け入れる場合、新企業は以下の手順を確実に行う必要があります。
✅ 渡航スケジュールの調整
新たな育成就労計画の開始日に合わせて、確実に日本へ入国できるよう、航空券の手配と日程調整を新企業が主体となって行います。
✅ 費用の全額負担の徹底
手配した航空券代等の費用を全額自社で負担し、給与からの天引きや、外国人本人への立て替え要求を絶対に行わない体制を整えます。
✅ 監理支援機関との連携
外国人が現在母国にいる状態での手続きとなるため、監理支援機関と密に連絡を取り、確実な再入国をサポートします。
4. 【旧企業向け】転籍を送り出す際のルールと禁止事項
転籍元(旧企業)による「転籍妨害の禁止」ルール
育成就労制度では、外国人労働者のキャリアアップや権利保護を目的として転籍が認められており、これを受入企業(転籍元)が不当に引き留めたり、妨害したりすることは一切認められません。
最新の運用要領において、転籍元となる育成就労実施者は、転籍手続きに必要な書類の提供を求められた場合に、これを拒否することはできないと明確に規定されています。
■ 法令で禁止される「転籍妨害」の具体例
運用要領上、以下のような対応は「転籍の妨害行為」とみなされ、法令違反となります。
【「転籍前までの育成就労計画」の提供拒否】
これまで外国人がどのような業務に従事し、どのような目標を持っていたかを示す計画書の写し等の提供を拒むこと。
【「渡航に要した航空券の領収書等の写し等」の提供拒否】
転籍先企業が負担すべき初期費用の補填額を計算するために必要な、来日時の航空券代などの客観的証拠の開示を拒むこと。
【「育成就労実施者の変更の申出」の拒絶】
外国人本人からの「転籍したい」という正式な申出そのものを拒絶し、退職や転籍手続きを妨げること。
■ 誰からの「情報提供要求」に応じる法的義務があるか?
転籍元企業は、以下の関係者から前述の書類(計画書や領収書の写し等)の提供を求められた場合、速やかに開示・提供する義務があります。
✅ 育成就労外国人(本人)
✅ 監理支援機関
✅ 転籍先となる育成就労実施者(新企業)
「うちを辞めるのだから情報は出さない」「個人情報だから転籍先企業には教えない」といった対応は認められません。 特に監理型育成就労の場合、監理支援機関が転籍手続きの連絡調整を行うため、企業は隠蔽することなく正確な情報を提供する必要があります。
■ 企業のリスク管理と法的ペナルティ
転籍元企業が書類の提供を拒否したり、転籍の申出を不当に拒絶したりして転籍を妨害した場合、「育成就労を継続して行わせる体制が適切に整備されていない」として、外国人育成就労機構からの指導や改善命令の対象となります。
重大な妨害行為や改善命令への違反が確認された場合は、育成就労計画の認定取消しという極めて重いペナルティに発展し、最長5年間新たな外国人を受け入れられなくなる(欠格事由に該当する)リスクがあります。転籍の申出を受けた際は、速やかに監理支援機関と連携し、法令に則って必要な情報を開示・提供することが、コンプライアンス(法令遵守)の鉄則です。
⚠️【重要事項:転籍元(自社から出される側)の優良要件への悪影響】
自社の労働者が「本人意向」で頻繁に他社へ転籍してしまう、あるいは「やむを得ない事情(自社の法令違反等)」で転籍した場合、企業側の育成能力が問われ、将来的に自社が「優良な育成就労実施者」として認定されるためのポイント(評価)に悪影響を及ぼす可能性があります。優秀な人材の流出を防ぐためにも、待遇向上の実施と適切な労働環境の維持が不可欠です。
5. 育成就労産業分野(全17分野)と業務区分一覧表
新しく始まる育成就労制度において、転籍の条件とされている「同一業務区分」とは、各産業分野をさらに細かく分類した「具体的な業務の枠組み」のことを指します。 育成就労計画の認定にあたっては、従事させる業務がこの業務区分に属していることが大前提となります(育成就労法施行規則第13条第2項第1号イ)。
分野別業務区分の全体像と制度の正確な理解
⚠️ 【重要事項:2026年最新法令の正確な理解】
一部の情報では、特定技能制度の全分野(航空や自動車運送業を含む)が育成就労の対象であると誤認されがちですが、これは法的に不正確です。特定産業分野のうち、国内での育成になじまない分野(「自動車運送業分野」や「航空分野」)については、育成就労の対象外とされています。 したがって、育成就労産業分野は以下の全17分野となります。以下の表は、最新の法令運用要領に基づく一覧です。
産業分野 | 業務区分の数 | 具体的な業務区分 |
介護分野 | 1業務区分 | 「介護」 |
ビルクリーニング分野 | 1業務区分 | 「ビルクリーニング」 |
リネンサプライ分野 | 1業務区分 | 「リネンサプライ」 |
工業製品製造業分野 | 17業務区分 | 「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」「紙器・段ボール箱製造」「コンクリート製品製造」「RPF製造」「陶磁器製品製造」「印刷・製本」「紡織製品製造」「縫製」「電線・ケーブル製造」「プレハブ住宅製品製造」「家具製造」「定形・不定形耐火物製造」「生コンクリート製造」「ゴム製品製造」「かばん製造」 |
建設分野 | 3業務区分 | 「土木」「建築」「ライフライン・設備」 |
造船・舶用工業分野 | 3業務区分 | 「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」 |
自動車整備分野 | 2業務区分 | 「自動車整備」「車体整備」 |
宿泊分野 | 1業務区分 | 「宿泊」 |
鉄道分野 | 6業務区分 | 「軌道整備」「電気設備整備」「車両整備」「車両製造」「運輸係員」「駅・車両清掃」 |
物流倉庫分野 | 1業務区分 | 「物流倉庫」 |
農業分野 | 2業務区分 | 「耕種農業」「畜産農業」 |
漁業分野 | 2業務区分 | 「漁業」「養殖業」 |
飲食料品製造業分野 | 2業務区分 | 「飲食料品製造業」「水産加工業」 |
外食業分野 | 1業務区分 | 「外食業」 |
林業分野 | 1業務区分 | 「林業」 |
木材産業分野 | 1業務区分 | 「木材産業」 |
資源循環分野 | 1業務区分 | 「廃棄物処分業(中間処理)」 |
【具体例でのまとめ】同一業務区分内での転籍の仕組み
例えば、建設分野の会社で「土木」として育成就労を行っている外国人が転籍を希望した場合、別の会社の「土木」の求人へ転籍することは可能です。 しかし、同じ建設分野であっても、「建築」や「ライフライン・設備」として別の会社へ転籍することは、「同一業務区分」ではないため認められない、ということになります。
このように、「製造業から外食業へ」といった分野をまたぐ転職ができないのはもちろんのこと、同じ分野の中であっても「自分が現在従事しているピンポイントな業務区分の中でのみ転籍が許される」という厳格な仕組みになっています。
6. 転籍受け入れ事前準備と要件確認チェックリスト&ToDoリスト

転籍受け入れ事前準備と要件確認チェックリスト
転籍者を受け入れる場合、新規受け入れの基本ルールに加え、以下の転籍特有の厳格な要件をすべてクリアしているか確認してください。
✅ 同一業務区分の完全一致確認
転籍希望者が従事していた転籍元の「業務区分」と、自社で従事させる業務区分が完全に「同一」であるか。
✅ 受入比率と地方特別枠のクリア
自社が受け入れる本人意向転籍者の数が、転籍後の育成就労外国人全体の「3分の1以内」に収まるか。また、自社が大都市圏で地方から受け入れる場合「6分の1以内」を満たしているか。
✅ 優良な育成就労実施者の要件適合
本人意向による転籍を受け入れる大前提として、自社が法令に基づく「優良な育成就労実施者」として認定される基準を満たしているか。
✅ 転籍制限期間の経過確認
本人意向の転籍の場合、転籍元の企業での就労期間が、分野別運用方針で定められた転籍制限期間(1〜2年)を確実に超えているか。
✅ 各種試験の合格証明書の確認
本人意向の転籍の場合、対象の外国人が「技能検定基礎級等」および「A1〜A2相当以上の日本語能力試験」に合格していることを書面等で確認できるか。
✅ 初期費用の補填予算の確保
本人意向の転籍を受け入れる際、転籍元企業が外国人の入国時に負担した初期費用の一部を、自社で補填(支払い)する予算と合意の準備があるか。
✅ 民間職業紹介の排除
転籍者のマッチングにおいて、民間の職業紹介事業者等(エージェント)を一切利用しておらず、ハローワークや外国人育成就労機構、監理支援機関等の公的ルートのみを利用しているか。
✅ 非自発的離職者・行方不明者の不在
転籍を受け入れる前提として、自社で過去1年以内に同種業務の労働者を会社都合で離職させたり、自社の責任による行方不明者を発生させたりしていないか。
転籍実務の行動と手順用ToDoリスト
実際に外国人が転籍してくる際の、企業間や公的機関との連携を含む具体的な実務手順です。
■ 転籍事由の明確化と証拠確認
今回の転籍が「本人意向」か「やむを得ない事情」かを明確にし、やむを得ない場合は転籍元や監理支援機関から機構へ「育成就労実施困難時届出書」が適切に提出されているか確認する。
■ 公的機関を通じたマッチングと連携
ハローワークや外国人育成就労機構、監理支援機関と連携し、法令に違反しない透明なルートで外国人と面接・合意形成を行う。
■ 転籍元との初期費用補填の調整
(本人意向転籍の場合)転籍元企業と連絡を取り合い、法令に基づく初期費用の補填額について合意し、支払い手続きを進める。
■ 転籍用の新たな育成就労計画の作成
転籍後の就労期間(3年から過去の同一業務区分での就労期間を差し引いた残余期間)に基づき、自社用の新たな育成就労計画を作成する。
■ 雇用契約の直接説明(母国語)
転籍してくる外国人本人に対し、自社での新たな労働条件や給与、待遇について、対面またはテレビ電話等を用いて母国語で直接説明し、合意を得る。
■ 機構への新たな計画の認定申請
外国人が自社で働き始める前に、外国人育成就労機構に対し、転籍用の「育成就労計画認定申請書」を提出し、認定を受ける。
■ 転籍元への認定通知の連携
機構から新たな育成就労計画が認定された時点で、監理支援機関等を通じて転籍元の企業へ「転籍先の計画が認定された旨(通知)」を確実に連絡する。
■ 在留資格の変更・更新手続き
転籍に伴い、必要に応じて地方出入国在留管理局に対し、在留資格の変更または在留期間の更新手続きを確実に行う。
7.よくあるご質問(FAQ)
Q. 本人意向による転籍は、どんな業種へも自由にできるのでしょうか?
A. いいえ、自由にはできません。転籍は現在の業務と同じ「同一業務区分内」に厳格に限定されており、例えば建設分野の「土木」から農業分野へといった、異なる分野や区分への転籍は法律で認められていません。
Q. 転籍を希望する外国人を採用したい場合、自社に人数の制限はありますか?
A. はい、あります。転籍先企業が受け入れる本人意向転籍者の合計は、その企業に在籍する育成就労外国人全体の「3分の1以内」に抑えなければならないという厳格な人数制限が設けられています。
Q. 外国人が転籍するためには、事前にどのような試験に合格する必要がありますか?
A. 就労期間の条件(1〜2年)を満たした上で、従事する業務に関する「技能検定基礎級等」の技能試験と、分野ごとに設定された「A1相当以上」などの日本語能力試験の両方に合格している必要があります。
Q. 経営不振で外国人の雇用を維持できなくなった場合、どうすればよいですか?
A. 会社の倒産等は「やむを得ない事情」に該当します。直ちに外国人育成就労機構へ「育成就労実施困難時届出書」を提出し、監理支援機関等と連携して外国人の新たな転籍先を探す支援を行わなければなりません。
Q. 新しく育成就労外国人を受け入れる前に、既存の従業員を解雇してもよいですか?
A. 絶対に認められません。過去1年以内に同種の業務を行う労働者を非自発的に離職(会社都合解雇や退職勧奨など)させた場合、要件違反となり育成就労計画の認定を受けることができません。
Q. 育成就労期間が終了して外国人が帰国する場合、航空券代は誰が払うのですか?
A. 帰国に要する旅費は、受入企業(単独型)または監理支援機関(監理型)が全額負担する法的な義務があります。いかなる理由があっても外国人本人に負担させることは法律違反となります。
Q. 転籍を受け入れる企業は、何か費用を負担する必要がありますか?
A. はい。本人意向による転籍を受け入れる企業は、元の受入企業がその外国人を最初に受け入れるために支出した初期費用の一部を法令に基づき補填する義務があります。
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法改正に伴うルールの変更は複雑で、一つ対応を誤ると深刻な労務トラブルや不法就労助長などの法的リスクに直結します。当事務所では、最新の法令に精通した専門家が、御社の実情に合わせた完全オーダーメイドの移行サポートを提供しております。どんな小さな疑問でも構いませんので、まずは一度専門家の声をお聞きください。ご相談内容は絶対に秘密を厳守いたしますので、どうぞご安心の上、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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代表者: 行政書士 山本 克徳
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